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「材料」は世の中を変えられる。世界一の東北大学で、面白さを知ってください。

マテリアル・開発系系長の粉川博之教授(接合界面制御学)に、東北大学の材料科学総合学科の特色などについてお話を伺いました。

東北大学の材料科学総合学科の特色は、どんなところにあるのでしょうか。

 材料科学総合学科は、大学としては規模と質ともに世界一であると言われています。日本では初の金属工学科として始まり、もっとも長い歴史を誇ります。「論文の引用動向」で毎年発表されるランキングでは、材料科学分野で日本ではもちろん1位、世界でも3年連続で1位になりました。現在世界3位ですが、これは近年、ドイツと中国で研究所群を統合し順位が変わったためで、パフォーマンスが下がった訳ではありません。単独の機関で特に大学としては世界一です。その実績を見て、外国からも優秀な留学生がたくさん来ています。材料を勉強するなら東北大学、という選び方をしてくれるんですね。

 たとえば、日本のプロ野球選手がメジャーリーグに行って活躍する人もいれば思った程活躍できない人もいますね。やっぱり行ってみないとわからない。でも、我々研究者は、常に世界全体のメジャーリーグに入っているようなものです。学生であっても、いい研究をすれば世界に知れ渡り、実力があればすぐに認められる。東北大学は、日本では有名だけれど…というのではなく、世界に直結していて、そこでトップランキングと認められているのです。

大学の教育ではどういった点に力を入れていますか。

 研究だけでなく、教育も世界レベルを意識しています。近年力を入れているのは、英語です。研究成果は英語で発表し評価してもらう必要があります。特に東北大学は世界中で認められているので、英語をちゃんと使いこなせるようにしなければならない。そこでネイティブスピーカーの先生に色々な形での英語の使い方を教えてもらっています。例えば、論文を書くための英語、国際会議でプレゼンテーションする際の英語の使い方。またTOEICやTOEFLのための講義もあります。大学院の受験の際にも、英語の成績としてTOEICまたはTOEFLの試験のスコアの提出が必要です。英会話学校に特に行かなくても大学で充分学ぶことができます。語学は、できるだけ早いうちに学んだ方が身に付きやすいですね。就職してからも役に立つと思います。

>粉川博之教授

 海外の大学との交流も頻繁に行っています。韓国の大学POSTECHとの交流は、1年生から4年生まで30〜40名くらいが参加する、学生主体の活動です。隔年でお互いの国、大学を訪問します。すべて英語のやりとりで、異文化交流の面でも学生は大きく成長するようです。交換留学生の制度もあります。

 また、材料科学総合学科ではJABEEの認定も受けています。これは国際的に認められている教育の基準で、この大学の卒業生はある一定レベル以上の教育を受けたということを認めてもらえるものです。認定証を卒業時に渡します。この認定を受けると、技術士の資格取得のための一次試験が免除されるというメリットもあります。

「材料」という分野の面白さはどんなところにあるのでしょう。

 材料は、「これ」というものが見えにくいかもしれませんが、すべての工業生産物の基礎です。どの工学分野でも、材料を扱うグループはあります。

 何かを作製したり、機能を追求しようとしたりする場合、電気だったら回路、建築だったら構造やデザインを工夫します。でも材料そのものの性質がガラッと変わると、構造から性能から根本的に変わる。ドラスティックに世の中を変えられる分野だと思っています。

 例えば、原子力発電所で寿命が30年というものがあったとします。材料の性能が少し上がっただけで、50年、100年に寿命が延びる可能性が出てきます。寿命が長くなるだけでなく、全体の性能も上げられます。使用温度を100度上げられることでエネルギー効率が一気に良くなる。あるいは、安全性が増します。材料が変わる事で、一気にいろんな問題が解決していく。これは材料にしかできないことなんです。そういったところが面白いと思っています。

特色あるオープンキャンパスについて教えてください。

 高校生の皆さんには、材料と言っても簡単にイメージできないかもしれません。ですから「材料っていうのはこんなに面白いんだよ」ということを、もっと知って欲しいと思っています。オープンキャンパスはその活動の一つです。実は、材料科学総合学科のオープンキャンパスは国内でも歴史が古く、東北大学全体として開催するよりかなり前から独自に「学科公開」として実施していました。開始当時は珍しいのでテレビや新聞で取り上げられました。

>粉川博之教授

 オープンキャンパスで興味を持って、志望する学生が多いですね。研究室の学生たちが、自分たちの学科や研究について説明したり案内したりします。年齢の近い先輩が、一生懸命わかりやすく紹介してくれるのを見て、好感を持ってくれるようです。

大学・大学院を卒業・修了した後の就職について教えてください。

 どの産業でも、材料の専門家は必要です。例えば、宇宙や航空機に興味があるが、材料でそういった分野に関わる事はできるのですか?と聞かれることがあるんですが、大いにできます。今、不況で求人が減っていると言われていますが、材料科学総合学科ではその心配はないといえるでしょう。工業技術は継続が大事ですから、東北大学からは材料の技術者を継続的に採用したいと、多くの企業が希望しています。

 どこに行っても先輩が活躍している、これは凄いことです。そして自分の母校から卒業生が来ると、歓迎してくれます。卒業してからも、東北大学については常に興味を持ってくれているようです。ほとんどの方にとって、大学・大学院は人生のうちほんの4年または6年なのですが、何年経っても、ここがふるさとだと思ってくれているんじゃないでしょうか。

どんな学生に来て欲しいですか。また、高校ではどんなことを意識して学んで欲しいですか

 画一的に「こういうタイプ」というよりは、色々な人に来て欲しいです。好奇心がある人、積極的な人が望ましいです。

粉川博之教授

 高校時代から、常に「なぜなんだろう?」と考える習慣をつけていて欲しいです。公式を丸暗記するのではなく、なぜそうなるのか、ものごとの原理的なことや根本的なことを考えるようにして欲しい。 また、工学の分野では自分一人でものごとを解決したりプロジェクトを推進したりするのは、まず不可能。色々な人の協力を得てグループで進めないといけない。そんな時、リーダーシップをとれる人が必要です。人とつきあうことができ、リーダーシップがとれる人材を希望したい。 AO入試ではそういう観点からも見ています。 クラブ活動や校内の役員で人をまとめる経験をした人は、大学に入ってからも活躍する人が多いですね。

 これは大事なことで、勉強だけできればいいというのではなく、自分自身が社会の一員であるということを常に考えていて欲しい。「世の中に役立てるために、こういう勉強をしているんだ」という意識が大事です。この基本的な考え方を、本人だけでなく保護者の方にも持っていてほしいんです。最近、工学倫理が重要視されていますが、知識があっても使い方を間違うとかえって危ないことが多いんですね。やはり工学というのは、その技術が世の中のために、人を幸せにするものでないといけない。それを基本に考えて勉強するようにすると、多分、見方が大きく変わってくると思うんですね。ベースは人のため、世の中のため、その意識を持っていただきたいと思います。

 とは言っても、大学生活は楽しんでほしいですね。研究でも教育でも、苦しいことはあるかもしれないけど、基本的には楽しみたい、好きなことをやりたい、という気持ちで来て欲しいです。材料はどこにでもありますから、他の学科より選択肢は広い。できるだけ好きなことをやれるような雰囲気を、我々は作ろうと思っています。

(平成21年4月取材)