東北大学大学院工学研究科 材料システム工学専攻 マイクロシステム学講座 材料システム計測学分野       Japanese/English
(東北大学未来科学技術共同研究センター)
山中研究室
【2008.4.15】 山中一司教授が平成20年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞
山中一司教授が、「球の弾性表面波の多重周回現象とセンサへの応用に関する研究」に対して、平成20年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞されました。 (写真) (研究内容
受賞理由は以下の通りです。
 環境と社会の安全と安心への認識が一層高まっているが、各種化学物質の影響は深刻であり、環境問題を解決する水素ガスの普及にも安全性の課題がある。
 本研究では、球の弾性表面波(SAW)が直径と波長の幾何平均に近い幅で励起されると、球の集束効果と回折による発散が釣り合って、自然に細いコリメートビームが形成されるという新しい物理現象を発見した。このSAWは支持部による散乱を受けないため多重周回して、伝搬経路上へのガス分子の吸着による音速や減衰の変化が増幅される。これを利用して、高感度なガス検出を可能にするボールSAWセンサを開発した。
 本研究により、0.001%から100%まで5桁に及ぶ濃度範囲の水素を単独のセンサで検出することに成功した。高圧水素ボンベのある環境でも安全に使える初めての高感度水素ガスセンサとして、メーカーによるフィールドテストに入っている。
 本成果は、水素社会の安全を支えるのみならず、多種類の有害・危険ガスセンサへの適用も公的資金によるプロジェクトとして開始された。また、汎用のガスセンサ開発ツールとしての製品化も実現して、大学・企業に販売されており、ガスセンサ技術全体の革新に寄与している。