山中研究室       超音波シンポジウム  材料科学系
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(教授 山中一司)テキスト ボックス: 構造物の安全検査と環境センサへの応用を目指して、超音波計測技術を研究しています。現在の主なテーマは原子炉配管の発見困難な閉じたき裂の検査、メモリ・アクチュエータ用圧電材料の性能を左右するドメイン構造、水素社会の安全性を確保する高性能水素ガスセンサ、複合材料やコンクリートの振動検査です。ここでは当研究室で発見・開発した非線形超音波の解析モデル、超音波原子間力顕微鏡、球の表面を伝搬する弾性波の無回折コリメートビーム、光で屈折率が変化するフォトリフラクティブ結晶を用いたレーザーホログラフィーなどを駆使しています。
マイクロシステム学講座
材料システム計測学分野

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超音波原子間力顕微鏡
横振動モードAFM
LM-AFM
LM-AFM 2
球状弾性表面波素子
  水素ガスセンサ
  プレスリリース

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         球状弾性表面波センサ(Ball SAW sensor)           超音波原子間力顕微鏡(UAFM)

 

    超音波原子間力顕微鏡(ultrasonic atomic force microscope UAFM)

    原子間力顕微鏡のカンチレバーを超音波周波数で振動させ、その共振特性から試料の弾性率の分布と表面下の欠陥を10ナノメートルの分解能で映像化する方法を開発しました。共振周波数とQ値の分布をリアルタイムで映像化する方法も世界で初めて実現しました。

    横振動モード原子間力顕微鏡(lateral modulation atomic force microscope LM-AFM)原子間力顕微鏡の試料を微小振幅で横方向に振動させた際のカンチレバーのねじり振動を測定する方法で、摩擦力顕微鏡(friction force microscope FFM)と異なり試料凹凸や走査方向の影響をうけず、摩擦力の分布を精密に映像化できます。AFMメーカによりLM-FFMとして製品化事例1 事例1b 事例2)され、標準的手法となっています。

 

弾性表面波の

コリメートビームと

球状弾性表面波素子

ball SAW device

(プロトタイプ)

 
これらの手法は、複合材料の繊維・樹脂境界、繊維内部の微細構造の評価、マイクロ素子や半導体ウエハ加工時に導入されるナノスケールの欠陥評価、磁気テープの潤滑膜やLangmuir Blodgett膜など有機分子膜の粘弾性、トライボロジ特性の解明、カーボンナノチューブ複合材料など多くの分野に適用されています。

 

 

超音波原子間力顕微鏡の原理(K.Yamanaka and S.Nakano, Jpn.J. Appl. Phys. 1996

超音波を用いた材料評価

■超音波顕微鏡、サブハーモニック超音波:

圧電素子を用いて発生した超音波を音響レンズで集束して材料に照射し、その反射エコーから超音波の音速・減衰および散乱特性を計測し、材料中の欠陥を映像化する方法です。超音波顕微鏡は電子パッケージの重要な検査法となっています。本研究室ではロケットエンジンの検査、サブハーモニック非線形超音波による閉じたき裂の検出、音場の可視化などの研究のほか、依頼測定、1年生の実習、技術者講習会などをおこなっています。下図は、Al合金の閉じた疲労き裂を開かせながら観測した分調波(サブハーモニック)の計算と計測結果の比較です。

■ ぐるぐる回る表面波と高感度センシング:

軸受球の非破壊検査の研究中に、回折で拡がらず球を何周でもぐるぐる回る弾性表面波のコリメートビームを世界で初めて発見しました。これを応用して環境中の危険なガスの高感度な検出や微量生体高分子検出のための球状弾性表面波センサの開発を企業と共同で行っています。また、ぐるぐる回る表面波がどんな経路をとっても支持部に当たらないように球を空気で浮かせて、欠陥からの散乱波を高感度に検出する浮上共振法を考案しました。

■ レーザー超音波法:

パルスレーザーを照射した際の急激な熱膨張や溶融蒸発現象を利用して超音波を発生し、光干渉計などの手段を用いて物体に触らず超音波を検出する技術です。物体に接触する必要がないため、従来の超音波計測法が適用できない高温、乾燥状態、真空中などの環境やマイクロマシンなどにも適用できます。本研究室では、レーザーの干渉縞を弾性波の位相速度で走査することで、指向性の良い弾性波を発生し、高精度な計測や超音波映像を可能にする位相速度走査法や、結晶のフォトリフラクティブ効果を用いた振動計測法を研究しています。

 

開発した浮上共振法のノズル 

(超音波検出用HeNeレーザー光が見える)

 

レーザー超音波の光弾性による可視化