研究紹介

『永久磁石』『高周波磁性材料』『スピントロニクス』の3つを研究の柱としています。

永久磁石
(ネオジム- 鉄-ボロン系)

永久磁石(ネオジム- 鉄-ボロン系)は、ハイブリット自動車の駆動モーター、パソコンのハードディスクドライブ、携帯電話のスピーカーや振動モーターになくてはならない材料です。

こうした機器のさらなる性能向上、省エネルギー、小型化のためには、ネオジム- 鉄-ボロン系永久磁石の磁気特性の向上が不可欠であり、さらにはこれまでになかった性能を持つ新しい永久磁石の登場も待たれるところです。

高周波磁性材料

高周波磁性材料は、利用拡大の進む高周波帯域(携帯電話や無線LAN、ETCなどに割り当てられています)で活躍する磁性材料のこと。

近年問題となっている“電磁干渉”(電子部品が不要な電磁波を拾うことで誤動作やエラーを引き起こす)を防ぐ「電磁波吸収体」等の開発や、機器内部やコンピュータのCPU内でノイズを抑制する材料の研究に取り組んでいます。

これらの磁性材料は普段私たちが目にすることはありませんが、快適で便利な現代社会をつくりだすまさに“材料”なのです。

スピントロニクス

スピントロニクスは、半導体工学(電荷)と磁気工学(スピン)をナノレベル(10億分の1メートル)で制御・融合させることで、新しいエレクトロニクスを創製する研究分野が能な磁気メモリ(MRAM)があります。

この次世代メモリにより、私たちはスタートボタンを押すと瞬時に立ち上がるパソコンを手にすることできるというわけです。

100年余りの薄膜の歴史を書き換えるともいわれるMRAMは、近い将来の実用化も視野に入っています。私たちは新しいデバイスが生まれようという、その瞬間に立ち会おうとしているのです。

杉本研究室 最近の研究...

トピックス

資源小国・日本の切り札。研究開発力で“希少”なレアアースの使用量を低減
~ネオジム磁石に添加するジスプロシウムを約40%減らす新技術を開発~

強くて省エネ、環境にもやさしいネオジム磁石。

最近、新聞やテレビなどのメディアを通じ、「レアアース(希土類元素)」という言葉を耳にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。17元素からなるレアアースは、エレクトロニクス製品の性能向上に不可欠な材料です。中でも最も重要とされるのが『永久磁石』に添加される『ジスプロシウム』という元素。『永久磁石』(ネオジム-鉄-ボロン系磁石:以下ネオジム磁石)は、ハードディスクドライブや携帯電話を始めとして、家電機器、ハイブリット車(HV)、電気自動車(EV)などの駆動モータ、風力発電など、小型センサから大型モータまでさまざまな分野で使用されており、需要も累増しています。

ネオジム磁石は、その強力な磁界・磁束によって、省エネルギーや動力源の小型化・静音化を実現する環境にやさしいキーマテリアルでもあります。例えば、最近の冷蔵庫は音が静かになったと思いませんか?それもネオジム磁石のおかげ。しかしこの磁石は熱に弱いという欠点があります(耐用温度が200℃程度)。耐熱性を高め、保磁力を改善させるために添加されるのが前言のジスプロシウムです。

連携協力で「答え」を出すプロジェクト型研究。

ジスプロシウムは、ほぼ全量を海外(中国)からの輸入に依存しています。

そこで経済産業省NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)文部科学省では、元素戦略、レアアース使用量低減・代替材料開発に関する国家主導の2つの研究開発プロジェクトを立ち上げました。5大学・研究機構、民間4社が、それぞれ微細化、界面、解析、応用の4グループを形成し、共同連携して研究開発に着手。

杉本研究室ではインターメタリックス社(ネオジム磁石発明者の佐川眞人博士が代表を務める)との共同研究で、磁石を焼き固める前の合金粉末を従来の5ミクロンから平均粒径1.1ミクロンまで微細化するとともに、結晶粒子のまわりを薄く均一に界面(ネオジムリッチ相)が取り囲むように作製プロセスの最適化を行うことにより、保磁力を高め、ジスプロシウム約40%削減することに成功しました。プロジェクトはまだ道半ばですが、各大学・研究機関、企業が熱意とリソースを注ぎ、切磋琢磨し合ったことが、短期間での成果を生んだものとみられます。

鉱石からの単離が難しいことからギリシア語の「近づき難い」を語源に持つジスプロシウム。

今回のプロジェクトは、研究各チームの“密な連携と協力”が成功への牽引力となりました。そして開発された技術によるネオジム磁石の量産化が検討段階に入るなど、さらなる大きな成果に近づきつつあることも付け加えておきましょう。

杉本研究室では、学生一人ひとりが主役

教員や先輩学生のサポートの下
ひとつのテーマに向けて
開発から設計、試作、評価に至るまで一貫して担います。

多くの時間を費やし、試行錯誤を繰り返しながらの取り組み……
研究へと駆り立てるのは
“まだ世の中に存在していない材料”に出会いたいという
冒険心にも似た熱き思いなのかもしれません。