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資源小国・日本の切り札。研究開発力で“希少”なレアアースの使用量を低減
~ネオジム磁石に添加するジスプロシウムを約40%減らす新技術を開発~

強くて省エネ、環境にもやさしいネオジム磁石。

最近、新聞やテレビなどのメディアを通じ、「レアアース(希土類元素)」という言葉を耳にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

17元素からなるレアアースは、エレクトロニクス製品の性能向上に不可欠な材料です。中でも最も重要とされるのが『永久磁石』に添加される『ジスプロシウム』という元素。『永久磁石』(ネオジム-鉄-ボロン系磁石:以下ネオジム磁石)は、ハードディスクドライブや携帯電話を始めとして、家電機器、ハイブリット車(HV)、電気自動車(EV)などの駆動モータ、風力発電など、小型センサから大型モータまでさまざまな分野で使用されており、需要も累増しています。

ネオジム磁石は、その強力な磁界・磁束によって、省エネルギーや動力源の小型化・静音化を実現する環境にやさしいキーマテリアルでもあります。例えば、最近の冷蔵庫は音が静かになったと思いませんか?それもネオジム磁石のおかげ。しかしこの磁石は熱に弱いという欠点があります(耐用温度が200℃程度)。耐熱性を高め、保磁力を改善させるために添加されるのが前言のジスプロシウムです。

連携協力で「答え」を出すプロジェクト型研究。

ジスプロシウムは、ほぼ全量を海外(中国)からの輸入に依存しています。

そこで経済産業省とNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)、文部科学省では、元素戦略、レアアース使用量低減・代替材料開発に関する国家主導の2つの研究開発プロジェクトを立ち上げました。5大学・研究機構、民間4社が、それぞれ微細化、界面、解析、応用の4グループを形成し、共同連携して研究開発に着手。

杉本研究室ではインターメタリックス社(ネオジム磁石発明者の佐川眞人博士が代表を務める)との共同研究で、磁石を焼き固める前の合金粉末を従来の5ミクロンから平均粒径1.1ミクロンまで微細化するとともに、結晶粒子のまわりを薄く均一に界面(ネオジムリッチ相)が取り囲むように作製プロセスの最適化を行うことにより、保磁力を高め、ジスプロシウムを約40%削減することに成功しました。プロジェクトはまだ道半ばですが、各大学・研究機関、企業が熱意とリソースを注ぎ、切磋琢磨し合ったことが、短期間での成果を生んだものとみられます。

鉱石からの単離が難しいことからギリシア語の「近づき難い」を語源に持つジスプロシウム。今回のプロジェクトは、研究各チームの“密な連携と協力”が成功への牽引力となりました。そして開発された技術によるネオジム磁石の量産化が検討段階に入るなど、さらなる大きな成果に近づきつつあることも付け加えておきましょう。