研究室を決めるにあたって


研究室は卒論を仕上げるためだけでなく、その後における物事の考え方の基本を学ぶ場です。
また同じ研究室に所属した先輩・後輩や同級生同士の関係など将来にわたっての貴重な人間関係を作っていく場でもあります。
もちろん研究以外にも様々なイベントがあり人生の中できわめて濃密で楽しい時間です。
いずれにしても研究室担当者や先輩たちの醸し出す“雰囲気”はいろんな意味でその後の研究者・技術者としての進路に大きな影響を与えます。どの研究室のどの研究テーマであっても、教科書にはない新しいことに取り組むわけですから、ただ”楽な”だけのテーマなどないと思います。そう言った意味から、自分が現在何に興味があり、何をやってみたいのか、 よく考えて卒論研究室を選択してください。
我々の研究室は、「ナノワールド」という競争の激しい分野にあって世界でもトップレベルの研究を目指しています。また、環境科学研究科の新日鐵住金連携講座に進学した学生の里親研究室としても共同しつつ研究に取り組んでいます。
そのような独自性の高い困難な研究に対して、学部・大学院(特に博士課程)にわたって、関連するチームと協調しつつ熱心に粘り強く取り組んでいただける方を歓迎します。(和田山)



学生からの研究テーマ紹介


  • M2: 鶴巻 碩人
  • 出身:宮城県
  • 趣味:ゲーム全般


  • 研究テーマ
  • 回転ディスク電極-オンライン電気化学質量分析法の開発と電極近傍分子のその場観察


  • 研究内容
  • 電極触媒反応は溶液に浸漬した電極表面上へ分子が吸着し、電子のやり取りを行うことで反応が進行します。一般的な電気化学測定では応答電流、すなわちやり取りした電荷量の測定しか行えず、実際に電極触媒反応が進行した際に付随して生じる様々な変化について直接測定することはできません。 オンライン電気化学質量分析法(OLEMS)とは、電極触媒反応に関与する物質を直接捕集し、その反応挙動をリアルタイムで測定することができる手法です。 本研究ではこの分析法をより精度良く実施するために、回転ディスク電極を用いてOLEMS測定を行える装置を新規開発することを目的としています。


  • ひとこと:自由な時間は作るもの
tsurumaki tsurumaki

  • M2: 妙智 力也
  • 出身:埼玉県
  • 趣味:カラオケ、プロデュース、TRPG、ルービックキューブ、フットサル

  • 雅な趣味:狩猟、射撃


  • 研究テーマ
  • Ptシェル/遷移金属炭化物コアモデルナノ粒子のドライプロセス合成と電極触媒特性


  • 研究内容
  • CO2排出の少ない次世代のエネルギーとして水素社会が提案されており、中でも燃料電池は水素社会を構築する上で欠かせないデバイスです。燃料電池には電極触媒として非常に希少で高価な白金が大量に用いられており、使用量の削減は燃料電池の安価な普及のために欠かせません。 触媒反応は表面でのみ進行することから、近年では遷移金属微粒子の表面だけを白金で覆うコア-シェルナノ粒子が注目されています。一方で、コアシェルナノ粒子はコアの耐久性が課題となっています。  そのため、本研究ではより高耐久なコア材料を目指して、タンタルやチタンなどの遷移金属炭化物に着目し、より高い触媒活性と耐久性を具備した触媒開発を目的としています。


  • ひとこと:居室や実験室で突然踊りだしても何も言われなくなりました
myochi myochi

  • M2: 渡邉 将
  • 出身:佐賀県
  • 趣味:バスケ、映画鑑賞、飲み、とりあえず楽しそうなこと


  • 研究テーマ
  • Ptナノ粒子/炭素担体モデルナノ構造の構築と酸素還元反応特性


  • 研究内容
  • 固体高分子形燃料電池(PEFC)の酸素還元反応(ORR)触媒として、カーボンブラック上にPtナノ粒子を担持したPt/C触媒が実用されています。 Pt/C触媒にはカーボン担体の酸化やPtナノ粒子の凝集・再析出による粒径粗大化に伴う反応表面積の低下といった劣化要因が存在し、 PEFCのより広汎な普及に対する喫緊の課題となっています。この課題解決に対して、Ptナノ粒子に加えてカーボン担体の劣化を総合的に 評価・解明することは非常に重要です。しかし、PEFC動作環境におけるPt/C触媒のその場評価は一般に困難なため、本研究では Pt/C実触媒の構造モデルをとして、Pt/graphene/SiC(0001)表面ナノ構造を作製して劣化挙動を検討しています。


  • ひとこと:博士課程っていいよね...
watanabe watanabe

  • M2: 川口 浩太郎 新日鐵住金連携講座:楠研(里親研究室)
  • 出身:愛知県豊橋市
  • 趣味:筋肉体操


  • 研究テーマ
  • 溶液法SiC溶液法の初期過程における貫通転位の伝播挙動


  • 研究内容
  • 現在、SiCの工業的製法は昇華法である。昇華法は最初に発明された製造法で、SiC原料粉末を加熱により昇華させ炭素るつぼ上方にある種結晶上で成長させる製法である。 問題点として、成長結晶中の転位密度が高いことが挙げられる。溶液成長法は種結晶を炭素るつぼ上方から溶液に浸漬させ成長させる新しい製法である。 溶液成長法は熱力学的平衡状態に基づく成長法であり、種結晶よりも転位密度の小さい結晶が得られるため、現在注目されている。SiC単結晶中の結晶欠陥として主に貫通らせん転位、貫通刃状転位、基底面転位があり、SiCの普及の妨げになっている。 そのため、それらの低減が精力的に取り組まれている。溶液法では基底面転位が新たに発生しないことが明らかとなっているが、貫通らせん転位と貫通刃状転位は未だ結晶中に残存している。そこで本研究では、貫通転位の伝播挙動を明らかにして低減することを目的としている。


  • ひとこと:筋肉体操一緒にやりましょう!
kawaguchi

  • M1: 工藤 大輔
  • 出身:栃木県
  • 趣味:パズル系全般、ウィンドウショッピング、ゲーム

  • 高貴な趣味:オーケストラ鑑賞


  • 研究テーマ
  • Pt/4~6属遷移金属モデル触媒の化学状態制御と酸素還元反応特性


  • 研究内容
  • 現在、石油資源などの再生産不可能なエネルギー依存からの脱却のため新エネルギーと呼ばれるエネルギー群が注目を集めています。 その新エネルギー実用化に向けて水素社会が考案されており、中でも燃料電池は水素社会実現に欠かせないエネルギーデバイスとなっています。 しかし、現在車載用としても用いられている固体高分子形燃料電池(PEFC)中のカソード触媒中には希少かつ高価なPtが多量に使用されており、PEFCの広範な普及の妨げとなっています。 PtとM(M=Fe,Ni,Coなど)の合金ナノ粒子が単味Ptナノ粒子に比較して高い酸素還元反応(ORR)活性を示すことから精力的に研究されていますが、低pH、高電位環境下におけるM原子の溶出による失活が問題となっています。 そこで本研究ではPtM合金触媒の高耐久化を目指し、電気化学的に比較的安定な4~6属の遷移金属を合金化元素としてPtと交互堆積したモデルナノ構造のORR特性を調査し、遷移金属の化学状態や構造が及ぼすORR特性への影響を研究しています。


  • ひとこと:結局苦楽は相伴う
kudo kudo

  • M1: 楠木 啓介
  • 出身:宮城県
  • 趣味:運動、スポーツ観戦、ドラマを見ること


  • 研究テーマ
  • 遷移金属ヘテロナノ構造の表面・界面への異種元素添加による触媒特性制御


  • 研究内容
  • 次世代エネルギー源としての燃料電池は、有毒な生成物を排出しない等から地球環境問題解決の一環として注目され、その中でも固体高分子形燃料電池(PEFC)は、エネルギー効率が高く小型であり常温動作が可能といった特徴から、次世代自動車の動力源やエネファームとして実用化されています。 しかし現状では、カソード触媒として高価で希少なPtを多量に必要とし、広汎な普及の妨げとなっています。 このため、Ptをシェル、遷移金属をコアとしたコアシェル型ナノ粒子がPt使用量低減の観点から広く研究され、さらにコア/シェル界面に異種元素を添加するとORR活性に大きく影響すると報告されています。 私の研究では、Pd単結晶基板を用い、Ptシェル/Pdコアのモデルコアシェル構造の表面・界面に異種元素Mを添加した試料を作製し、ORR特性への影響を調査しています。


  • ひとこと:定時で帰る
kusunoki
kusunoki

  • M1: 長尾 哲郎
  • 出身:青森県
  • 趣味:釣り、ボードゲーム


  • 研究テーマ
  • 原子配列を制御したPt基合金表面の電気化学特性


  • 研究内容
  • 近年脱化石燃料に向けた取り組みが精力的に進められており、持続可能な社会を実現するために、新たなエネルギー媒体として水素が注目されています。 水素はエネルギー密度が大きく長期貯蔵が可能であり、自動車や飛行機などの内燃機関を動力とする輸送機器の代替エネルギーとして適した性質を具備しています。 水素を利用したエネルギー循環システムの形成には、再生可能エネルギーからの水素生成の効率化と水素から電気エネルギーを取り出すことのできる燃料電池の普及が求められています。 私は燃料電池の触媒に関して研究を行っています。燃料電池普及のためには電極触媒の高活性化が必要不可欠です。 現段階ではPtが触媒として用いられていますが、広汎な普及のためには今よりも高活性な触媒が必要となります。そこで私は分子エピタキシ法によりPt-M(M:遷移金属)合金の表面を制御した試料を作製し、活性向上のメカニズムを明らかにすることを目指しています。


  • ひとこと:真空装置はいいぞ~。
nagao
nagao

  • M1: 宮川 拓 新日鐵住金連携講座:森口研(里親研究室)
  • 出身:青森県
  • 趣味:読書、散歩


  • 新日鐵住金連携講座に関して


  • 新日鐵住金連携講座という存在について疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。ここでは、①新日鐵住金連携講座の位置づけ、②和田山研究室とのつながり、の二点について解説します。

    1.新日鐵住金連携講座の位置づけ
    新日鐵住金連携講座は、東北大学大学院環境科学研究科の講座の一つとして位置づけられており、そのため私は、厳密には和田山研究室と別の講座に所属しているということになります。また、研究テーマも和田山研究室とは別のものです。最大の特徴はその研究環境にあり、東北大学のキャンパスではなく、新日鐵住金株式会社の施設を拠点として研究を行っています。

    2.和田山研究室のつながり
    我々新日鐵住金連携講座の学生にとって、学部時代の研究室は”里親研究室”という位置づけとなり、学校行事の際などは里親研究室の一員として参加することができます。そのため私も、今年の駅伝では和田山研究室として走り、各種飲み会にも参加しています。


  • ひとこと:研究して酒飲んで寝る
miyakawa miyakawa

  • B4: 今井 大輔
  • 出身:神奈川県
  • 趣味:スポーツ、ゲーム、麻雀


  • 研究テーマ
  • Ptシェル/チタン炭化物コアモデルナノ粒子のドライプロセス合成と電極触媒特性


  • 研究内容
  • 次世代のエネルギー媒体として水素が注目される中、燃料電池は水素社会を実現させる上で欠かせません。 燃料電池には電極触媒として希少で高価な白金が大量に使用されており、その使用量の低減は燃料電池の広範な普及に必要不可欠です。 近年、表面のみで化学反応が進行する触媒反応の特徴から、遷移金属微粒子の表面のみを白金で覆うコア‐シェルナノ粒子の研究がされています。 しかし、燃料電池の動作環境下におけるコアの耐久性が課題となっています。 本研究では、耐久性の高いコア材料としてチタン炭化物に着目し、より高活性でより高耐久な電極触媒材料の開発を目指しています。


  • ひとこと:リーチ一発チョンボ
imai imai

  • B4: 金内 貴文
  • 出身:山形県
  • 趣味:スカッシュ、らぁめん、鍋、腹筋


  • 研究テーマ
  • Pt/graphene/SiC(0001)モデル触媒の構築と電気化学特性


  • 研究内容
  • 固体高分子型燃料電池(PEFC) は燃料電池自動車等に搭載されています。 PEFCのカソードとして使用されているカーボン担体にPtナノ粒子を担持したPt/C触媒が酸素還元反応(ORR)を進行しています。 しかし、Pt/C触媒では活性や耐久性などの減少が問題になっています。これらの劣化メカニズムを解析・評価することはPt/C触媒のさらなる性能向上の足掛かりとなります。 本研究では、SiC(0001)基板を真空中でアニールして作製したグラフェン層上にPtを堆積して、そのORR特性を評価しています。


  • ひとこと:キャッチボール行こうぜ
kanauchi kanauchi

  • B4: 木村 杜倫
  • 出身:宮城県
  • 趣味:読書、筋トレ、シャドバ


  • 研究テーマ
  • Pt/Co/Pt交互堆積表面の化学特性


  • 研究内容
  • 近年地球温暖化などの環境問題に対する関心が高まり、クリーンなエネルギーデバイスとして燃料電池が注目されています。 中でも固体高分子型燃料電池(PEFC)は高出力で小型化が可能、低温でも作動するといった優れた特性を持つことから研究が進められています。 酸素還元反応(ORR)はPEFCのカソード上で起こる律速反応であり、過電圧が大きく低効率な反応であるため反応効率を高めるために高活性な触媒の開発が望まれています。 Pt-M(白金-遷移金属)合金は単体の白金触媒と比較して高い活性を示すことが知られています。私の研究では分子線エピタキシ法を用いてPt単結晶基板上にCoナノ薄膜を形成し、ORR特性について調査しています。


  • ひとこと:やばい人歓迎
kimura kimura

  • B4: 四之宮 新
  • 出身:静岡県
  • 趣味:ゲーム、将棋、麻雀


  • 研究テーマ
  • 構造制御したCo酸化物薄膜表面における酸素発生挙動


  • 研究内容
  • 現在、地球温暖化は大きな社会問題になっています。その中で、この対策のため様々な取り組みが行われていますが、その一つに水素社会の推進があります。水素社会とは今現在の主流の石油ではなく水素をエネルギー媒体に用いる社会です。 ここで用いる水素を再生可能エネルギーから水電解で作り出すことにより水素が循環する持続可能な社会を実現可能です。 水電解の反応は酸素発生反応『OER』と水素発生反応『HER』が起きており、そのうちOERの過電圧が大きいことが知られています。そのためOERのメカニズムの解明が必要で、そのためOERの電極表面での反応特性を調査しています。 しかし、電気化学反応電流と目的生成物の生成挙動は必ずしも一致しません。これは、例えばOERのようなアノード分極下では、電極金属の溶出が起こっている可能性があるからです。 これより、電極表面で反応生成物を直接捕集することで目的の電気化学反応と生成物の挙動の関係を明らかにする必要があります 。これらより、その場分析の手法の一つであるオンライン電気化学質量分析を用いて水電解におけるPtおよびIr電極上のCo酸化物薄膜における酸素発生挙動を調査し、その構造を解析することでOERメカニズムの解明を目指しています。


  • ひとこと:趣味は下手の横好きです
shinomiya shinomiya

  • B4: 千田 祥大
  • 出身:生粋の仙台市民
  • 趣味:Splatoon2中後衛・ニコリのペンパ

  • 高尚な趣味:小説()書き


  • 研究テーマ
  • 酸化物単結晶基板上に堆積したPt層の界面構造分析と触媒特性


  • 研究内容
  • 世界情勢の繊細な変化による偏在するエネルギー資源活用の不安定化や激甚災害の多発により、日本国内でもエネルギーミックスや持続可能な社会といった考え方が注目され始めています。 その中でも将来有力なエネルギー源になると目さられている水素、そして水素を電気に変換する装置である燃料電池に関する研究は非常にホットなテーマです。 燃料電池の電極は白金などの貴金属触媒とそれを担持する炭素担体を基本として作られてますが、この炭素担体は燃料電池の起動・停止によりどんどん劣化してしまう問題を抱えています。 この問題の解決策の一つに、炭素を化学的に安定な金属酸化物で代替する方法が考えられているのです。このテーマではナノレベルで制御したモデル試料を作製することで、金属酸化物上で触媒として働く白金がどのような振る舞いをするか、そのメカニズムと共に観察しています。


  • ひとこと:お客様の中に前衛が出来る方はおりませんか!!
chida chida