新田研究室

実験設備

実験装置・設備の紹介

クリーンルーム

クリーンルームアライナ

一般的な半導体プロセスにおいて、空気中を漂う粒子は非常に大きな問題となります。高純度Si基板などにドナー、もしくはアクセプターとして働く金属微粒子が付着してしまうと、それが金属イオンとなり電子、もしくはホールを放出することになるためSi本来の物性を得ることができず、素子の動作が不完全となってしまう危険性があります。また、素子構造を基板上に転写するプロセスでは小さいものでは1μm、大きいものでも数十μmのパターンを用いるため、同程度のサイズの粒子がこのプロセス中に付着してしまうと、素子構造の断線、ショートなどにつながります。このような観点から、半導体プロセスにおいて必要不可欠なのがクリーンルームです。我々の研究室では、このクリーンルームで半導体プロセスの大部分を行っています。内部は常に与圧され、外部からのパーティクルの進入を防いでいます。設置されている装置はフォトリソグラフィを行うためのフォトマスクアライナー、素子の段差を測定するためのα-ステップ、ドーパントをアニールによって拡散させるためのアニール炉、ドライエッチング用RIE(Reactive Ion Etching)などです。また、内部の照明は、レジストの感光を防ぐために短波長光をカットしたイエローランプを用いています。

Kerr効果測定装置

Kerr効果測定装置

高磁場マイクロKerr効果測定装置(ネオアーク社製)では、マイクロメートル以下の大きさに加工された微小強磁性体の磁化曲線を、室温において測定します。 HeNeレーザーを光源とし、偏光光学系に顕微鏡光学系を組み合わせることで、試料上のスポット径は約10μmとなり、微小領域の測定が可能です。光弾性変調器(PEM)による円偏光変調方式を用い、PEMに印加する電圧の周波数 f に対して、検光子を通過した光の周波数のうち 2f の成分をロックインアンプで検出します。また、マグネットの最大発生磁界は4kOe以上です。

Kerr効果測定装置

磁気光学Kerr効果(MOKE)とは、直線偏光を磁性体に入射したとき、反射光が主軸の傾いた楕円偏光になる現象です。これは、等方的である物質に磁化Mが生じた場合に現れる誘電率テンソルの非対角成分により、右/左円偏光に対して反射率および位相に差が生じるためです。右/左円偏光の位相差は直線偏光の傾きが変化する旋光性、反射率の差は楕円偏光になる磁気円二色性を生じます。
本装置は、試料に磁場を印加しながら直線偏光を照射し、入射光と反射光における偏光面の傾きの差 を測定することで、試料の磁化曲線を得ることができます。MOKEは光の進行方向と磁化の向きによって、縦Kerr効果、横Kerr効果、極Kerr効果の3種類に分けられますが、本装置は縦Kerr効果により測定を行います。

3Heクライオスタット

3Heクライオスタット

電子スピンの外部磁場や電界による挙動を観測するには,熱による格子振動が非常に大きな障害となります.特にスピン干渉現象など検出シグナルが非常に小さい場合,良質な低温環境の実現は必須です.我々の研究室ではオックスフォード社製超伝導マグネット付き3Heクライオスタットを用いておよそ0.3Kの極低温を実現しています.
外界と完全に断熱するために,外側は断熱真空チャンバーで覆われており,その内側に約60Lの液体ヘリウムタンクがあります.この液体ヘリウムを減圧気化させることで,さらに内側にあるヘリウムの安定同位元素3Heを液化し,3Heの減圧気化によって最低到達温度0.26Kを実現しています.
また,液体ヘリウムはクライオスタット内部に設けられた超伝導マグネットの冷却にも用いられ,最大で15Tもの強磁場を作り出すことが可能です.

GM冷凍機

GM冷凍機

極低温環境は外界との熱遮断や冷媒の安定供給などが問題となって,持続的な実現が難しいのが一般的です.本研究室のナガセ4Heクライオスタットは二段式ギボード・マクマホン(G-M:Gifford MacMahone)サイクルを採用した極低温冷凍機であり,非常に安定な極低温環境(~3.8K)を実現することができます.クライオスタット本体はヘリウム圧縮機に接続されており,そこから供給される高圧のヘリウムガスを冷凍機内部で断熱膨張させることによって二段階で冷却を行います.一段ステージでの冷凍能力は大きく50K以下,二段ステージの冷凍能力は小さいが4.2K以下の極低温を長時間実現することができます. 常伝導マグネットは1.1Tまでの磁場を印加することができ,簡便に極低温・強磁場測定を行うことができます.

リアクティブイオンエッチング装置

リアクティブイオンエッチング装置

微細加工を従来のウェットエッチングで行うと、それまで問題視されなかったアンダーエッチングと呼ばれる現象が顕著に現れます。アンダーエッチングとはレジストパターンの下側に側面からエッチャントと呼ばれる腐食液が回り込み、素子寸法に狂いが生じてしまう現象です。このアンダーエッチングの問題から、ウェットエッチングのような等方性エッチングは微細加工には不向きです。そこで、精度良い微細加工を行うために、異方性エッチングを行う必要があります。異方性エッチングではドライエッチングがよく用いられていますが、アルゴンなどの不活性イオンをレジストパターンの上から電界加速して垂直に叩きつける(スパッタ)ことでエッチングを行う従来のドライエッチングでは物理衝撃による加工であるため、側面から基板そのものへダメージが加わることがあり、半導体加工のようなクラックに敏感なプロセスでは問題が起きやすくドライエッチングは用いることができませんでした。しかし、素子の集積化から微細加工が要求されるようになり、ドライエッチングを行う必要が出てきました。そこで、基盤素材と反応性のあるガスを用いることで物理衝撃に伴う化学反応によって微細加工エッチングを行うリアクティブイオンエッチングが注目を集めています。

電子ビーム・抵抗加熱真空蒸着装置

真空蒸着装置

真空蒸着とは、真空中で試料に熱を加えることによって蒸発させ、基板上に薄膜を生成させる技術です。真空中で行う理由は雰囲気ガスによる酸化を防ぎ、被覆される面のガスを取り除くことによって清浄な表面を得るためです。チャンバー内に薄膜の材料となるターゲットと基板を入れ、TMP(ターボ分子ポンプ)を用いて目的の値まで真空度を上げます。この装置ではおよそ1.0×10-8 Torrまで真空度を上げることができます。その後ターゲットを蒸発させると、チャンバー内を蒸発したターゲットが移動して基板に到達し、付着します。基板に付着した物質の厚さは、水晶振動子を用いておよその厚さを知ることができます。ターゲットを蒸発させる方法として、この装置ではフィラメントに電圧をかけて発生する抵抗熱によって加熱する方法と、電子線を当てて蒸発させる方法が用いられています。またマスフローコントロ−ラー式のガス導入法を利用して、チャンバー内に導入されたArガスに電圧をかけることにより発生したプラズマを用いて基板上の余計な物質を弾き飛ばす逆スパッタリングも行うことができます。さらに、この逆スパッタ装置をサンプル直下のスパッタターゲットに向けることでSiO2絶縁膜の形成する通常のスパッタも可能となります。

アトミックレイヤーデポジション

原子層堆積法(ALD)とは化学気相成長法の一つで、緻密な膜を成長することができるため非常に膜質がよく、単原子層ずつの制御が可能であるため精確な膜厚を堆積させることが可能です。ALDプロセスでは2種類以上の前駆ガスを基盤表面上に順々に流し、基盤表面上の反応基と化学的に反応させ、それぞれを単層ずつ堆積させます。前駆ガスにはそれぞれシャッターが設けられており、ガスを流すサイクル数により堆積させたい膜厚を制御します。
また、近年半導体の微細化が進むにつれ、絶縁膜の薄膜化が進んでいますが、従来用いられている二酸化ケイ素(SiO2)絶縁膜を用いた場合、量子トンネル効果によりリーク電流が生じやすくなってしまいます。そこで膜厚を薄くせずとも高い誘電率によりゲート性能を向上させる材料が用いられるようになりました。本研究室では、ALDプロセスにより、トリメチルアルミニウム((CH3)3Al)および純水(H2O)を前駆ガスとして用い、アルミナ(Al2O3)を堆積させています。アルミナの比誘電率は二酸化ケイ素の2〜3倍であるため、SiO2ゲートに比べゲートの質が向上しています。