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石炭フライアッシュへのホウ素移行過程の追跡

修士1年 溝口修史

日本国内の発電量に対して石炭火力発電が占める割合は年々増加している。そして原子力発電の問題もあって今後もさらに増加することが考えられる。石炭の燃焼残渣である石炭灰の発生量もまた増加し、2009年には約1100万tに及んだ。これらの石炭灰のうち約71%はセメントの原材料として中間処理が行われているが、今後は特に民間重要の低減が予測されている。

 石炭灰のうち、約9割はフライアッシュと呼ばれる微細球状粒子である。石炭フライアッシュは主に石英(SiO2)とムライト(3Al2O3・2SiO2)によって構成される。石炭中に存在する環境規制物質はMeijら1)によって揮発性が低くボイラーの底のボトムアッシュ中に分類される「Class Ⅰ」、揮発性が高く煙道からガスとして拡散する「Class Ⅲ」、および揮発性がこれらの中間に位置し、一度石炭から揮発したのちに、フライアッシュ中に濃縮する「Class Ⅱ」に分類される。2001年度より環境規制物質として追加されたホウ素が本研究対象元素である。柏倉らはこれまでに、石炭中のホウ素の移行過2)や石炭中のホウ素が石炭表面にホウ酸塩の形で濃縮するため、希酸を用いて洗浄除去を行う酸洗浄法を提案している3),4)。しかしながら、ホウ酸塩形成過程における石炭加熱初期段階のホウ素の揮発挙動については不明な点が多い。そこで本研究では、石炭中に含まれるホウ素の加熱初期過程における揮発性と揮発挙動を評価したので報告する。

セメンタイトの分解メカニズム解明

図1 揮発性による石炭中の微量元素の分類

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