量子コンピューティングってなに?

 現在私たちは、スマホやパソコンを使って、自分が知りたい時に知りたい情報をその場で得られる世の中で生きています。20年後には、パソコンやスマホはもちろんのこと、時計や眼鏡、服そしてコンタクトレンスでさえ、全てインターネットに接続されるような時代が到来します。そして、産声をあげ生まれ人生の幕を閉じるその日まで、全て情報として記録されるような時代が来ようとしています。そうなると、情報量は爆発的に増えて行きますが、その情報をどうやって素早く、そしてエネルギーと使わずに、処理することが出来るでしょうか?

人類がこれまで扱ってこなかったような膨大な情報量を、一気に処理できる可能性を秘めるのが量子の力を使ったコンピュータで、その名も量子コンピューティングと呼びます。既に、Google や IBM、インテルなど世界的な大企業がしのぎを削って研究開発を行っていますが、どれほど早いものでしょうか? Google が 2019 年に発表した新しい量子コンピューティングでは、世界最速と言われるスーパーコンピューターで 1 万年かかってもやっと解ける問題を、たった 200 秒で解いてしまいました (IBM はそんなことない!と反論していますが )。そんな量子コンピューティングを使うことで全ての車を自動運転化したり、新しい薬を瞬時に生み出すことが出来るようになります。

この様な量子の世界を自在に操るためには、ミクロやナノの世界に入り込み、これまでなかった新しい材料を生み出していくことが必要不可欠となります ( 下の写真はその例です )。量子コンピューティングも 10 年前までは夢物語でしたが、これまでと違う材料が使われるようになり、急速に発展し、世の中で使われようとしています。

このように材料は “夢” を “現実” に変えてくれる、そんなチカラを持っています。

量子コンピューティングに使われる材料で作製したナノ構造をもつ半導体素子の写真。リング型をしたナノ量子デバイス。
スピンを使ったナノトランジスタ。