未来のIoT社会を支える環境発電材料

 いま,あらゆるモノがインターネットにつながろうとしています。この技術は,IoT(Internet of Things)と呼ばれ,社会に大きな革新をもたらします.将来は,衣服,機器,工場など様々なモノにセンサや電源が搭載されるでしょう.そして,行動や傾向,状態などのデータがインターネットを経由してグラウド上に蓄積され,分析されて現実世界にフィードバックされるでしょう.しかし,IoT社会の実現に必要なセンサや電池の数が2033年には45兆個に達するといわれています.こんなにたくさんの電池をどうやって用意すればいいのでしょうか.そのために私たちは,振動,熱,光,電波などの未利用のエネルギーから電力を回収できる環境発電(エネルギーハーベスティング)材料に注目しています.

 環境発電材料はプラスチックを主体とした複合材料になると考えられています.プラスチックの廃棄は,環境汚染の要因の一つで,特に土壌・海洋生態系を破壊します.2019年5月,日本は環境省がプラスチック資源循環戦略を策定しました.また,6月には,G20(主要国首脳会議)で「大阪ブルーオーシャンビジョン」が首脳宣言として発表されました.これは,新たな海洋プラスチック汚染を2050年までにゼロにすることを目指すというものです.このように,環境負荷の小さいプラスチックの開発は主要な先進諸国の急務となっています.

 そこで,私たちは未来のIoT社会を支える材料の研究に取り組んでいます.私たちが開発しようとしているものは,小さく,軽く,振動を電気に変える複合材料です.実際に振動から発電する材料の設計(写真1)や,歩くたびに発電できる靴(写真2)の作製を行っています.そして,材料の損傷状態がいつでも把握でき,使用後(壊れた後)は自然に分解される材料を目指しています.たくさんの役割を果たす1つの小さな多機能(マルチファンクショナル)複合材料が,世の中をもっと快適で便利な社会へ変えていくでしょう.

 そこで,私たちは未来のIoT社会を支える材料の研究に取り組んでいます.私たちが開発しようとしているものは,小さく,軽く,振動を電気に変える複合材料です.実際に振動から発電する材料の設計(写真1)や,歩くたびに発電できる靴(写真2)の作製を行っています.そして,材料の損傷状態がいつでも把握でき,使用後(壊れた後)は自然に分解される材料を目指しています.たくさんの役割を果たす1つの小さな多機能(マルチファンクショナル)複合材料が,世の中をもっと快適で便利な社会へ変えていくでしょう.

逆磁歪材料(ファイバー)や圧電材料(ナノ粒子)を用いて試作した振動発電材料の写真(写真1)
逆磁歪材料を組み込んだ発電靴の性能評価試験の様子(写真2)

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