メカニカルアロイングってなに?

1種あるいはそれ以上の異なった物質を混ぜ合わせる場合、気体同士や液体同士だと比重差や相溶性の違いにより、物質の組み合わせにより完全に混じり合う場合とほとんど混じり合わない場合が生じます。後者の場合でも撹拌などにより強制的に混ぜることは可能ですが、撹拌を止めるとやはり分離してしまいます。一方、固体(粉末)同士の場合ですと、あらゆる物質の組み合わせの混合が可能であり、また混合状態も安定しています。しかし粉末混合の場合は、単なる撹拌では微細かつ均質に混ぜ合わせることは困難です。そこで様々な混合方法が開発されております。メカニカルアロイングはその1つで、不活性雰囲気中でのボールミル(図1)時におけるボールの衝突エネルギーを利用して、図2のように粉末同士の折りたたみと圧延を繰り返し起こさせることにより、微細に混合していく方法です。極限的には原子オーダーまでの混合が可能であるため、従来の方法(融解→凝固)では得られなかった特異な合金相の実現も期待でき、新物質・新材料の創成法として研究されています。

図1 各種ボールミルの模式図
参考文献 1)橋本 等 他:まてりあ, 36(1997), 1021.
2)金属材料活用事典編集委員会 編:「金属材料活用事典」, 産業調査会, (1999), 870.
図2 機械的な折りたたみと圧延の繰り返しにより超微細組織が形成される。
圧延率 (1/a) = 0.3 とすると、繰り返し10回で元の厚さd0の約10万分の1の厚さの層状組織となる2)。