結晶粒界とは?

金属材料は、原子が規則正しく配列した構造を持っていることを持っていることをご存知でしょうか?原子が規則正しく配列した構造を結晶構造と言います。しかし、実際の金属材料は、大きな塊が全て同じ原子配列を持っているわけではなく、配列の向きが異なる領域(これを結晶粒と言います)が多数集まった構造を持っています(図1)。この結晶粒の境界を結晶粒界と呼び、原子配列が乱れた領域に対応します。しかも、その原子配列の乱れ方は、結晶粒界を作る2つの結晶粒の向きによって異なることが、図1からも想像できるでしょう。実はこの結晶粒界での原子配列の乱れ方は、金属材料の性質にいろいろな影響を与えます。例えば、金属には必ず不純物原子が存在していますが、それらは隙間に存在するほうが楽な場合が多いので、結晶粒界などに溜まります。この場合、より原子配列が乱れた結晶粒界に不純物原子は溜まることになります。この不純物原子の集まりが材料の性質を悪くするように作用するのでしたら、原子配列の乱れた結晶粒界を減らして、乱れの少ない結晶粒界を多くしてやることによって、材料の性質が悪くならないように制御できるはずです。マテリアル・開発系では、このような考えのもと実用金属材料の高性能化に関する研究も行っています。

図1 結晶粒と結晶粒界(粒界の泡モデル)