鋳造シミュレーションってなに?

IT技術を利用して、コンピュータ上で仮想的に鋳物をつくるソフトウェア技術を鋳造シミュレーションと呼びます。実際に金属を溶かし、型を作り鋳物を製造するためには多くの時間とコストがかかりますが、コンピュータ上で仮想的に鋳造することは短時間に低コストで実行することができます。基本は、コンピュータゲームと同じようにCG(コンピュータグラフィックス)を利用して鋳物が作られていく様子をシミュレーションすることです。コンピュータゲームとの違いは、物理現象をできるだけ忠実に再現できるように工夫していることです。当研究室では、1992年から自動車会社をはじめとした多くの企業と共同で鋳造シミュレーション技術について研究・開発を行い、1999年には東北大学の技術移転第1号として製品化(Advanced Stefan3D)に成功しました。今では、日本国内は勿論のこと、米国、台湾、韓国、中国、タイ、インドネシアなど140社以上で利用されています。材料を加工し形を与えたものを素形材と呼びます。工業製品は素形材から成り立っており、素形材の品質の善し悪しが製品の性能を左右します。鋳造品は、日本で製造される素形材全体の半分を占めるほど数多く利用されています。特に、ロケット、飛行機、自動車などのエンジンは鋳造技術無しに作ることはできません。自動車のボンネットを開けてみてください。複雑な形をした金属部品がたくさんあることでしょう。それが鋳造品です。鋳造シミュレーション技術は、これらの鋳造品を高品質でしかも安価に多量生産するために活用されています。