2020年7月現在

「材料って面白い?」
現役大学院生に教えてもらいました

材料科学総合学科は、工学部に7つある学科のうちの一つ。現役の大学院生に進路に材料を選んだ理由から、普段の大学生活、そして現在考えている将来像について聞きました。高校生のみなさんの進路選びの参考にしてもらいたいと思います。
森 竣祐さん

森 竣祐さん

[大学院博士課程2年|D2|須藤研究室]

北海道出身。高3の時にものづくりに興味を抱き、物質を成立させる原子の性質に関心が向く。「材料を学ぶなら東北大」と、多方からの薦めもあり材料科学総合学科へ。現在は、博士課程で半導体メモリに使われる新しい材料の開発を研究している。

石橋 万里奈さん

石橋 万里奈さん

[大学院修士課程2年|M2|三原研究室]

青森県出身。高2で参加したオープンキャンパスで、世に生み出される製品を根本から支え、変えられる力が材料の研究にあると知り、その面白さ、進路の裾野の広さに魅力を感じ入学。すでに就職先が決まり、研究を進めながら修士論文作成の準備を行っている。

森 竣祐さんの1日
[大学院博士課程2年|D2|須藤研究室]

 
通学

通学

5年前に開通した地下鉄東西線を使って通学しています。地下鉄ができるまでは、山の上にあるキャンパスまで原付バイクで通っていたのですが、冬の雪道には本当に苦労しました。地下鉄を利用するようになってから通学がとても快適になりました。大学まで10分ほどです。

 
後輩のサポート

後輩のサポート

博士課程2年なので研究室でも年上です。ですので、後輩の困りごとを聞いて相談に乗ることが多いですね。研究装置は使い方にコツがあったり繊細な技法が必要だったりするので、レクチャーやアドバイスをすることが多いです。

 
博士研究

博士研究

平日は毎日大学に行き、研究室にいます。私の研究テーマは学部生の時から取り組んでいる記憶媒体のメモリに使われる半導体材料の開発。材料の可能性は無限なので、研究はそれをとにかく追求する作業。いつか社会で使われるような材料の開発が目標です。

 
ランニング

ランニング

走ることが好きで、研究室の有志の仲間と一緒に毎年マラソン大会に出場することが恒例のイベントになりました。今年はコロナの影響でおそらく大会出場は難しいと思いますが、週に数回は7、8キロのランニングに励んでリフレッシュしています。

 
英会話

英会話

研究室には外国人留学生も増えていますので、学術用語だけなくもっとフランクに英語でコミュニケーションがとれたらと思い、英会話のトレーニングを始めました。オンラインで授業を受けているのですが、気軽に取り組めて結構楽しいものです。

―高校生活との違い

大学は、正解のないことに自分のやり方で挑戦する学びのとき。

高校生活の良いところは、理系文系問わず、どんな科目も均等に幅広く学べるという点だと思います。物事を広く知ることができますよね。高校時代の学び方というのは、正解があることを座学で教えてもらい、基礎知識を増やしていく時間だと思います。一方で、大学生活はそこから足を一歩踏み出して、正解のないことに自分のやり方で挑戦する時間だと思います。興味があることや関心があることについて自分なりのアプローチをして学びを深めることができる時間だと思います。

―将来について

材料の研究に携わり、社会の役に立つ仕事がしたいです。

さらに技術を習得し、人から必要とされ、周囲の人と協力して仕事ができるようになりたいですね。できれば材料に関する研究や仕事に携わり、社会の役に立つ仕事がしたいと思います。簡単な道ではありませんが、それでも研究者になりたいという気持ちを強く持っているのは、研究が面白いと感じる気持ちが昔と全く変わらないからだと思います。研究は、何か手を動かしていれば予想とは違った反応が出ます。全く予期していない、想像もしていないことが起こるのが面白いです。自分が研究者になったら、自分にしかわからないこと、自分が初めて見つけた技術を発信できるというのは言葉にできない達成感や面白さがあるのではないかと思います。研究で成果を出して支えてくださる先生の喜ぶ顔を見たいと思いますね。

―高校生へのメッセージ

興味を持っていること、面白いと思うことを探求して欲しい。

私はもともと科学が好きで、高校の授業で「原子は規則正しく並んでいる」と学んだことが興味深いと思い進路を決めたのですが、東北大の入試の時にその入試問題で「原子の並び方や構造は変わる」という記述があり、その内容にまた驚き、大学で学べることは高校よりもこんなに深いのかと、ショックを受けました。心の底から「面白い!」と思ったその感動が、8年経った今も、私のモチベーションになっています。それが今も顕微鏡を使ったり学会に出たりして研究を続けている理由ですね。

高校生のみなさんには、自分が何に関心を持ち、どんなものに興味を抱いているのか、突き動かされそうなのか、見つけて欲しいと思います。きっとそれがその道を選んだ自分支え、背中を押してくれるものになるだろうと思います。

石橋 万里奈さんの1日
[大学院修士課程2年|M2|三原研究室]

 
先生方との関わり

先生方との関わり

超音波による非破壊評価の研究を行っている三原研究室に所属しています。指導してくださる准教授には月に数回、研究について報告や相談をします。丁寧に教えてくださるので、不安や心配なく研究に取り組めます。

 
研究室の仲間

研究室の仲間

三原研究室にはあまり先輩後輩の区別がなくみんなで雑談したり、食事したりします。学部4年の時に研究室に所属しますが、初めのうちは修士の先輩が研究装置の使い方を丁寧に教えてくれます。私も自分なりの気づきを含め、後輩に伝えるようにしています。

 
研究

研究

平日は朝9時には研究室や実験室にいます。私の研究テーマは、重要保安部材の溶接部などに生じる微小なき裂を高精度に検査するための探触子、映像化システムの開発を行っています。秋の学会に向けて実験を重ねながら、修士論文に必要なデータ集めをしているところです。

 
アルバイト

アルバイト

土日はアルバイトしています。紅茶のカフェと穴子料理屋さんで5年間働いています。今はコロナの影響でほとんどアルバイトがありませんが、バイト先の人たちがとても良くしてくださるので楽しいです。卒業するまで続けたいですね。

 
おうち時間

おうち時間

料理が好きで家でよくお菓子を作ります。ホームベーカリーで食パンやベーグルを作ることもありますよ。以前、焼いたケーキを研究室に持ったことがありますが、男子しかいなくてケーキへの反応が薄く、あまり盛り上がりませんでした。笑

―高校生活との違い

高校は受動的な学び、大学は主体的な学び。自由だけど自分次第。

正解がある問題に対して、その解き方やどうすれば答えが見つかるかを教えてもらい、問題が解けるようになるのが高校の学びのゴールだと思います。また、試験の点数で評価されるますよね。文系や理系の区切りはありますが、決められた科目を受けるという感じだと思います。

大学は、まず受講科目を自分で選ぶので学びが主体的になります。材料科学は、3年生のときに週2回しっかりとした学生実験が1年間通してありますので、機材の扱い方や実験レポートの書き方、課題を解決する方法を学ぶ機会が非常に多くあります。研究室に配属された後は、正解のない問いに対して仮説を立て、一番正解に近いものを導き出す作業、また、そもそも問うべき着眼点を探す、というところから始めることもあります。高校時代と違い、点数で評価されるのではなく、問いに対する解決能力を評価されているように思います。

また、大学に入ると自由な時間がとても増えるので、それをどう使うかはその人次第です。何もしないとあっという間に過ぎてしまうので、早い時期に目標ややりたいことを見つけて取り組むと有意義な学生生活になるのではないでしょうか。時間の使い方が将来への投資になるのではないかと思います。

―将来について

研究生活で習得した「自ら課題を探し解決する能力」を生かしたい。

私は選んだ就職先は、重電系の企業で直接的に材料に関係があるわけではないのですが、ここで学んだ材料の基礎知識を生かし、他の分野では得られない材料出身の強みが発揮できれば、と思っています。本学部の教授陣のサポート、研究設備や施設は世界的にみてもとても良い環境なので、これまでの研究生活を通して身につけた、「自ら課題を探し解決する能力」を生かしていきたいと思います。

―高校生へのメッセージ

興味を持っていること、面白いと思うことを探求して欲しい。

材料を学びたいと考えている方にとって、本学科は間違いなく最高の学び場になると思います。材料系の学科としては国内一の規模を誇っており、研究室も数多くあります。各材料分野の第一線で活躍される教授陣の講義を受けることができますし、研究室に配属されるとその教授に直接指導してもらえます。研究施設や設備も充実しており、非常にいい環境で研究に打ち込めます。

また、工学部志望で今は材料にはあまり興味がないと思っている方にも、材料をおすすめしたいです。材料はものづくりの基盤であり、どの工学分野にもつながりがあるものなので、きっと熱心に打ち込めるのはないでしょうか。

本学科は就職に強く、私も実感しました。自由応募が難しいとされる企業から本学部だけに推薦枠があること、本学部には求人数が多いこと、材料系だけなく多様な業種からも募集がきます。私たちが学んできたことがあらゆる企業で必要とされているということだと思います。