私たちは「永久磁石」「高周波磁性材料」「スピントロニクス」を大きなテーマに磁性材料の開発に取り組んでいる研究室です。「永久磁石」では現状、磁力が最も強力なネオジム磁石が広く使われていて、私たちも特性の更なる向上を目指して研究を進めています。また、近年力を入れて開発に取り組んでいるのが、サマリウムという元素を使った永久磁石です。サマリウム系磁石の最大のメリットは高温での特性が優れていることにあります。現状、サマリウムは供給過多の状況にもあり、永久磁石としての利用が促進されれば、希少資源の有効活用にもつながります。そのため、サマリウム鉄系の高性能磁石開発に日々取り組んでおります。
「高周波磁性材料」は最近、IoT機器の普及に伴って強く市場から求められている材料です。5Gや6Gという言葉を聞いたことがあると思いますが、現在の社会では携帯電話や無線LAN、ETCなど様々な無線通信機器が用いられており、更なる高速・大容量通信に向けて電磁波の高周波化が進められております。ところが、それら通信機器の普及により、お互いの電磁波同士が悪影響を及ぼしてしまう、電磁干渉が問題となっています。機器内の電子部品が不要な電磁波によって誤作動を起こしてしまう可能性があるのです。こっちには必要な電磁波があっちでは要らないということが起きている。そこで不要な電磁波だけを吸収してしまう役割を担うのが高周波磁性材料です。電磁波を吸収し、熱に変換することで不要電磁波を吸収するイメージです。
「スピントロニクス」とは、電子の持つ電荷とスピンという性質の両者を利用するエレクトロニクス分野です。このスピンという性質が磁性の根源でもあります。今、私たちの研究室で取り組んでいるのは次世代記憶媒体として大きな期待が寄せられている磁気抵抗メモリ(MRAM)です。MRAMは高速動作ができ、かつ電源を切っても情報は消えません。このMRAMに適した磁性材料の研究、開発も私たちの使命です。