国際交流
インタビュー:POSTECHとの交流活動で得たもの
POSTECHとの交流活動で得たもの
加賀谷宗仁さん(今年度のリーダー、4年生/小山研)、 高木淳さん(4年生/新田研)、 齋藤壱実さん (4年生/小池研) の3名の方に、POSTECHとの交流についてお話をうかがいました。
皆さんは、どんなきっかけで参加されたのですか?
- 加賀谷
- 同じ学科で縦のつながりを持ちたかったというのもあるんですが、一番は英語をきちんと学びたかったからです。当時の自分の英語レベルは、大学受験レベルからちょっと落ちたかなという程度で、英会話も未経験。サークルで英語の歌を歌うこともあったんですが発音も全然意識していなくて。二年の始め頃から「やんなきゃいけないな」と思い、参加しました。
- 高木
- 1年生のプレゼミに当時のPOSTECH交流をやっている先輩から紹介がありました。それを聞いて「大学からお金が出て、韓国に行けるんだ!」と(笑)。友達と一緒に参加してみようということで。
- 齋藤
- 自分も一年生のときから参加しました。授業の後、先輩の紹介があったのがきっかけです。
- 加賀谷
- 毎年新入生向けにプレゼミや懇親会などで紹介・勧誘をしていますし、説明会も開きます。
具体的な活動内容について教えてください。
- 加賀谷
- 東北大学とPOSTECHの学生が一年おきにお互いの大学を訪問しあい交流するということが基本です。メンバーは材料科学総合学科の1年生から4年生まで、各学年で5、6名くらいです。女子の割合が一学年に2、3名と結構多いです。
交流会の一番中心となるのが研究会でのプレゼンテーションで、例年3つくらいテーマを決めて発表します。今年は、研究室紹介、学生実験、そしてお互いの国の文化を紹介する…これはアカデミックな内容ではなく笑いも交えたような内容ですが、この3つのテーマで行いました。テーマごとに各学年から2名くらいずつ割り振って、みんなで協力してプレゼンテーションを作成します。本番の発表は1、2年生が主に担当します。 - 齋藤
- 1、2年生はPowerPointの習得からやらないといけないので大変です。 しかもプレゼンテーションの内容はすべて英語。さらに、プレゼン用の英語は、それまで習ってきたような文法、語彙と違います。例えば「but」と書いたとすると、先輩に「そこは『however』だ」と指摘されたり。なかなか、最初は辛いですよ。
- 加賀谷
- 新しい取組みも始めました。今年はプレゼンの時にがんがん質問しよう!ということで、事前に韓国の方のアブストラクトをもらっておいて、準備しました。 各班で質問者を決めて、このプレゼンには絶対質問してください、と。結果として、とても盛り上がってよかったです。
研究会の他にはどんなことを?
- 加賀谷
- 今年の場合は、一日目に角田のJAXA宇宙センターを見学、三日目に山形観光に案内しました。
- 高木
- あと交流会の間は毎日、懇親会がありました。まず初日、東北大学に到着してから青葉記念会館でウェルカムパーティーをやって、 二日目は交流パーティーで、三日目はカラオケに行って。
- 加賀谷
- 普段は英語で喋ろうとしてもうまく言葉がでなくて気遅れしてしまう所があるんですが、そういう場では恥ずかしさが麻痺してたくさん話せるんです。
- 高木
- 日本人ってシャイなんで(笑)。
東北大学の学生が韓国を訪問する年は、どういう活動をするのですか?
- 加賀谷
- プレゼンテーションを作成して発表するというのは同じです。観光などのスケジュールは、韓国の学生がコーディネイトしてくれます。 昨年は、四日間のうち二日が移動だったので実質二日の活動でした。その二日のうちの初日にまずプレゼンテーションがあって、その後体育館でレクリエーションをしました。数字をつかって、ある答えを出すためにどういう式にするか、数字を並べ替えて作るゲームや、韓国式双六「ナガナワ」などです。 それから、学内を案内してもらいました。
- 高木
- 図書館がものすごいんですよ。5、6階もあって、吹抜けがあって。地球防衛軍みたいな雰囲気でした。
- 加賀谷
- それからやっぱり歓迎会があって、校内にログハウスのお店があるんです。
- 齋藤
- そこでこの交流と関係ない人も混ざったりして、面白かった。 韓国人って基本的にノリがいいんですよ。テンションが高いよね。
- 加賀谷
- 次の日が観光で、世界遺産の寺、博物館などを案内してもらいました。
加賀谷さんは英語を頑張りたいということでしたが、その点はどうでしたか?
- 加賀谷
- この交流会のいい所って、英語を話す機会を持てることだと思います。普通はそんなにないじゃないですか。それで、自分が英語を話しながら「あ、自分はこんなにできないんだ」ってあせりを覚える。 普通の日本人の友達に話すようなことも伝えられないんで、もうちょっと伝えられたらな、と思います。 交流会は短い期間なので急に上達するわけではないんですけど、きっかけにはなります。
- 齋藤
- POSTECHの学生は本当に英語がうまいんです。
- 加賀谷
- 韓国の中でも、特に優秀な学生たちですから。授業とか、全部英語なんです。
- 齋藤
- 日本語までできるもんね。
交流会以外の時期は何か活動しているのですか?
- 高木
- 交流会が終わった後のシーズンも活動しようという話も出ています。
- 加賀谷
- 今考えているのが、みんなで北海道に旅行しようとか、定期的に飲み会しようとか。それから、定期的な英語の勉強会の実施も考えています。
韓国の方と交流会以降の交流もあるのですか?
- 加賀谷
- 全体としてはないのですが、交流会で仲良くなった人とメールアドレスを交換したりして、連絡をとりあう人もいます。
例えば、去年のクリスマスにPOSTECHの学生が日本に来た際には、 仙台市街や松島を案内しました。 今年の8月にももう一回来るらしくて、そのときは東北の祭りを案内しようかと。
入って一年目だとなかなか友達作るのも難しいと思うんですけど、 二年、三年と経験していくうちちょっとずつ慣れてきて、そういったことも可能になると思います。
皆さんは4年生ということで今年で最後だったわけですが、4年生になって違いはありましたか?
- 加賀谷
- 全然違いますね。3年生まではトップダウンで指示されたとおりにやっていましたけど、 4年になったら自分達で全部やらないといけないんで、仕事の量が半端じゃない。でも自分はリーダーをやったお陰で全員と話すことができて、よかったです。
- 齋藤
- 去年までは裏方の仕事はノータッチだったので、今年は観光、予算など考えないといけないので大変でした。4年生と3年生以下って責任感が違う。 でも、何年か経験して慣れて来た分、楽しいですけど
- 高木
- 今まではプレゼンを作る側で、先輩に「変えたほうがいい」と指示された所を直して、の繰り返しだった。でも今年は自分が作らない分、作らせないといけないし、やるならいいプレゼンをして欲しいし。責任を感じました。
では最後に、POSTECHとの交流に参加して、皆さんどんなことが一番良かったと思いますか?
- 加賀谷
- 普通のサークルと比べてみると…サークルは遊び感覚だけど、この交流では1年生の最初から大変です。こんなに大変な思いをするサークルなんてないですよね。でも、大変な思いをしたからこそ、得るモノもたくさんあると思う、きっと。
- 齋藤
- 英語に対する意識を身に着けることができたのが、一番良かった。同じ学年だけでなく下の学年の韓国人よりも、自分の英語が下手だっていうのを実感するのは、辛いなぁと。
それから、プレゼンの経験を積めたのもよかったです。4年生になると、雑誌会というのがあって、プレゼンを作らないといけないんですが、みんなそこで苦労するんですよ、経験がないから。でもPOSTECHでやっていたから割とすんなりできました。
プレゼン力がつく、英語の力を見直すきっかけになる、その他に感じたことは…韓国と日本との国民性の違いを知ることができましたね。さきほど言った「ノリがいい」というのもあるんですけど。去年、交流で韓国で世界遺産を案内してもらった時、韓国の学生はすごくきっちり説明してくれるんですよ。そういうことが日本人にできるかっていうと、そんなに知ってないから、できないと思う。 - 加賀谷
- 無茶苦茶詳しいんです。歴史とかに興味があって、この時代に日本がどうした、韓国ではどうだったとか。すごいなあ、違うなぁと。
旅行とは違う機会で、外国の文化との交流ができ、文化の違い、国民性の違いがわかるというのは貴重な体験ですね。
- 加賀谷
- はい、マスコミに惑わされず(笑)。 学術的な交流だからこそ、得られることなんだと思います。
(2007年7月23日 取材)