チタン材料は優れた比強度、耐食性、生体適合性を有し、建材や宇宙航空分野のエンジン部材といった工業用途の利用だけでなく、生体材料やメガネフレームなどの民生用途でも幅広く利用されている。構造部材としてチタン材料の優れた強度特性を生かすため、鍛造による成型加工が行われることが多い。チタン材料の熱間鍛造は、まず変形抵抗の小さいβ単相領域で鋳造組織を壊し、その後仕上げ鍛造をα+β領域で行う。仕上げ鍛造をα+β領域で行うのはβ単相領域での粒成長速度が極めて大きく、一度粗大な組織となったミクロ組織の微細化が困難なためである。β単相領域での粒成長を抑制するために、当研究グループでは希土類金属に着目した。
これまでの研究でイットリウム添加によるイットリア析出粒子が、チタン合金のβ粒成長抑制に効果的であることが明らかとなっている。
そこで、本研究ではチタン合金へ微量のイットリウムを添加し、β粒成長挙動およびイットリウム添加量がβ粒成長に及ぼす影響を調査することを目的としている。 |

Fig. 1 各種希土類金属を添加したTi-4.5Al-6Nb-2Mo-2Fe合金の熱処理温度とβ粒径の関係 |