Research Subject

Ar-CO雰囲気中におけるチタンおよびチタン合金の酸化挙動

    はじめに

     
    チタンおよびチタン合金は、優れた機械的特性、高耐食性および生体適合性を有するため、医用材料などへの応用がなされている。また、その酸化相であるチタニア (TiO2) には、主に2種類が存在し、熱力学的に安定なルチル相と準安定なアナターゼ相がある (Fig.1)。このチタニア相は、干渉膜によるカラーリングや表面硬化処理などチタン表面の膜として利用されているが、アナターゼ相は特に、光触媒や生体適合性の向上に有効であるため、現在その製法について多くの研究が多方面にわたって行われている。

    Fig. 1 (a)ルチルおよび(b)アナターゼの結晶構造

     

    研究概要

    <目的>
    チタニア膜の製法の一つに、ガス処理法が挙げられる。この方法は、安価、簡便、高生産性といったメリットがある一方で、低酸素下におけるチタン材料の酸化挙動の統一的な研究が行われておらず、アナターゼの生成条件も明らかになっていない。 そこで、当研究室ではAr-COガス雰囲気中におけるチタン材料の酸化挙動調査を行うことで、アナターゼの生成条件を明らかにすることとした。

    <実験結果>
    Fig. 2に773 K、Ar-1%CO中、86.4 ks酸化処理後のCPチタン表面XRDパターンを示す。生成物としてルチル、アナターゼおよび炭化チタンの形成が確認され、アナターゼ相は773 K付近で形成が顕著であった。


    Fig. 2 Ar-1%CO雰囲気中にて86.4 ks酸化処理後のCPチタンの薄膜XRDパターン