Research Subject

擬似体液中におけるアパタイトの溶出挙動

    はじめに

     
    ハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite : Ca10(PO4)6(OH)2,HAp)は生体活性を有するリン酸カルシウム系セラミックスであり、骨や歯などの硬組織を構成している主要な無機成分である。HApは六方晶系構造を有しており、物理的・化学的異方性を有することが報告されている。HApの溶出はう蝕、骨粗しょう症、人工骨の生体内における分解などの現象に影響を及ぼすが、特定の結晶面における溶出挙動のpH依存性に関する報告はなされていない。
     そこで本研究では、アパタイトを擬似体液中に浸漬しその溶出の挙動を解明することを目的とした。

     

    研究概要

    浸漬試料は、多結晶のHAp焼結体、単結晶の天然フッ化アパタイトを用い、擬似体液は酢酸-酢酸ナトリウム緩衝溶液を使用した。この緩衝溶液はカルシウムイオンを含んでおらず生体吸収性の指標であると考えられるカルシウムイオン溶出量を測定するのに適している。