高校生の皆さんへ |
本研究室では,電極反応を利用した新しい材料,デバイス,および微細加工技術などの研究開発とその基礎となる分野の研究・教育を行っています。
☆☆☆ 電極反応って何ですか ☆☆☆
電池の正極と負極における反応や,電気分解の際の陽極と陰極における反応のように,固体の電極と電解質(多くの場合は溶液ですが,固体や気体もあります)との間で起こる電子の移行を伴う反応が電極反応です。電子が移動する方向の違いによって酸化反応と還元反応に分けられます。
☆☆☆ 電極反応はどんなところに使われていますか ☆☆☆
電極反応を利用した工業製品や技術は私たちの身近にもたくさんあります。 (1) エネルギー変換:(例)リチウムイオン2次電池,燃料電池,光化学電池 (2) 物質変換:(例)電気分解,海水の淡水化,光触媒,ファインケミカル製造 (3) 情報変換:(例)化学センサ,磁気テープ,ECディスプレイ (4) ライフサイエンス:(例)生体計測,臨床化学計測,人工臓器 (5) 環境保全:(例)環境モニタリング,重金属処理,水の再生利用 (6) 表面機能化:(例)めっき,アルマイト皮膜,電解コンデンサ (7) 省エネルギー・省資源:(例)腐食とその防止,ステンレス鋼
☆☆☆ デバイスって何ですか ☆☆☆
Deviceの意味は「1 装置,考案物,からくり, 2 工夫,方策,趣向, 3 意匠,図案,模様...」(研究社 新英和中辞典)です。私たちが使うときの意味は1に近いのですが,しっくりときません。
The American Heritage Dictionaryには次のように説明してあります。
"A contrivance or an invention serving a particular purpose, especially a machine used to perform one or more relatively simple tasks"(特定の目的にかなう工夫もしくは発明,特に,一つもしくは複数の単純な仕事を成し遂げるために使われる機械)。
意味としてはこれがピッタリですね。
☆☆☆ 知能デバイス(Intelligent device)って何ですか ☆☆☆
「検知−判断−動作あるいは制御」の3つの機能を組み込み,生体の持つ感覚器官,脳および筋肉の働きを電子的,機械的に実現しようとするデバイスのことです。人間は限られた刺激かしか感知できませんし,限られた環境でしか生きられませんが,知能デバイスは人間の能力を超えた感覚や量を感知することができますし,人間が立ち入れない場所や環境でも働くことができます。その意味で,知能デバイスの持つ可能性は無限大です。このような知能デバイス実現のために優れたセンサ(検知=感覚器官),プロセッサ(判断=脳),およびアクチュエータ(動作・制御=筋肉)の開発が必要とされてます。
☆☆☆ 研究はどんなところに役立つのですか ☆☆☆
次のようなものへの応用を目指した研究を行っています。
センサ | いろいろなイオンおよびガスセンサの開発 |
プロセッサ | LSIの高集積化と高機能化のための高誘電率酸化物薄膜の開発および超微細加工技術の開発 |
アクチュエータ | イオンビームスパッタ蒸着法による各種の機能性薄膜の作製 |
デバイス保護 | 自己修復性防食機能を有する極薄防食被覆の開発 |
燃料電池 | 携帯用燃料電池のための高効率負極材料の開発 |
メタノールおよびバイオディーゼル燃料用タンク | 耐食性に優れた新表面処理鋼板の開発 |
高レベル放射性廃棄物の地層処分 | 原子力発電所から排出される放射性廃棄物を最終処分するための容器材料も開発 |
超臨界水酸化処理装置 | PCBやダイオキシンなどの有害廃棄物を分解処理するための装置材料の開発 |
マグネシウム合金 | 省エネルギーに役立つマグネシウム合金を安全に使用するための新しい表面処理方法の開発 |
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