2020年9月21日、オンラインで行われた学科説明会の様子を収録しました。上記リンクよりご覧いただけます。

トップクラスの研究施設規模を誇り、
世界をリードする東北大学の材料研究。

1982年、今から38年前、材料科学総合学科は、全国の国立大学で初めて「学科公開」と銘打ってオープンキャンパスを開催しました。国立大学でありながら高校生に研究室を開き、共に学ぼうと訴えた姿勢は「前例がない」と当時批判を浴びたそうです。しかし、熱意のある優秀な学生に向け、広く門戸を開く東北大学の理念は、現在も変わらずに大切に引き継がれています。
高村 仁 教授

高村 仁 教授

[大学院工学研究科|知能デバイス材料学専攻]

静岡県出身。学部生から東北大学で学び、2011年より工学研究科・教授。専門は、イオン伝導体・混合導電体などの機能性セラミックス材料の開発と燃料電池や二次電池などエネルギー変換デバイスに関する研究。学科の広報や高大接続にも熱心に取り組む。

― 先端材料科学の可能性

新材料は、あらゆる工学の扉を開く鍵。
未来を見据え、ものづくりの根本を支える。

 近年は、AIやIoTなど機械やインターネットの進化が目覚ましく、身近なところで言えばスマートフォンの高機能化が進んでいるのは皆さんも実感されているところだと思います。材料の研究はとても幅広く、裾野も広いためイメージしにくいかもしれませんので、研究を身近なものに例えてみます。

 例えばスマートフォンで言うと、長持ちする電池としてリチウム電池に替わる次世代の電池の開発、より美しいディスプレイ新素材の開発、本体の軽量化のためのセンサーや半導体に用いる新素材の開発、さらには、通信を高速化するためのセンサーに用いる基盤素材の開発など、材料研究は今後スマートフォンに実装が期待される最新技術の数々を担っています。

 もちろん、PCなどほかの電子機器をはじめ、航空機や宇宙技術開発、原発に替わる持続可能な発電装置、重金属、自動車や建材など、あらゆるものづくりの素地となる重要な役割を担っています。

 ノーベル化学賞やノーベル物理学賞は日本人研究者も受賞することが多いですが、その評価対象の多くは材料研究に関係しています。つまり材料の研究とは、社会に大きなインパクトを与え、新たな発見によって世界を変える力を持っています。ものづくりの根本を支えるためのあらゆる可能性を握っているのです。

― 本学科の実績

世界最大規模・日本最多の研究施設を備える
「“材料”といえば東北大学、東北大学といえば“材料”」

 本学科は材料研究で日本と世界を牽引してきました。それは、在籍する学生・研究者数、研究施設の数が国内一ポイント①]ということだけでなく、材料分野における被引用論文数が国内大学で1位ポイント②]であること、科研費助成件数も1位(2位を大きく離す)ポイント③]であることからも明白です。つまり、「突出して材料を多角的に研究している機関であり、かつその先駆的な研究内容が世界の研究者から注目を集めている」と言えます。

 東北大学は東京大学、京都大学と同時に文科省から指定国立大学に選定されていますが、その理由である世界をリードする4研究領域の筆頭に「材料科学」があります。まさに、東北大学といえば“材料”であり、この先も海外を唸らせる研究開発を期待されています。(詳しくはこちら https://www.tohoku.ac.jp/dnu/index.html

 本学科は1923年の金属工学科設立以来、学内外の材料研究機関と連携することで、材料研究で日本をリードし、世界でもトップクラスの研究・教育基盤を作り上げました。これまでに文化勲章、文化功労賞、学士院賞を受賞した本学科関連の研究者は16名ポイント④]を数えるなど、実績は枚挙に暇がありません。

② 被引用論文数 国内大学1位

  • 1位 (国)物質・材料研究機構 123,624
  • 2位 東北大学 94,227
  • 3位 東京大学 75,446
  • 4位 (国)産業技術総合研究所 75,039

材料分野において被引用数が上位1%の論文を高被引用論文(Highly Cited Papers)と定義(2008年1月1日~2018年12月31日実績) 典拠:トムソン・ロイター、2017年版「被引用数による日本の研究機関ランキング」

③ 科研費助成採択 国内1位

    新規採択 累計数(件) 配分額 (直接経費) (千円) 応募件数 累計数(件)
1位 東北大学 83.0 675,500 312.0
2位 大阪大学 48.0 252,900 163.0
3位 九州大学 41.0 192,300 141.0
4位 京都大学 40.0 335,600 101.0

2018・2019年度の新規採択の累計(文部科学省研究振興局「令和元年度科学研究費助成事業の配分について」より)

④ 受賞

  • 文化勲章 3名
  • 文化功労賞 4名
  • 学士院賞 9名

― 高校生にとって未知の分野

「興味ない」「知らない」「AI・機械がいい」が
「すごく面白い」「魅力的な学問」に変わるとき。

 高校生に材料科学の面白さや重要性を伝えるために、15年ほど前から高校に出向いて出張講義を行っています。高校生に講義をすると、はじめのうちは材料とは何か、ピンとこないようです。AIや機械、宇宙開発、災害の研究には興味をもっている生徒が多いのですが、それらと材料研究が密接につながっていることは残念ながらあまり知られていません。

 しかし、講義が終わると「材料はすごく面白い」「大きな可能性がある」「魅力的な分野」と目をきらきらさせて嬉しい感想を言ってくれます。つまり、高校生にとって、材料は未知の分野なのです。次世代航空機、先端医療、災害予防などには新素材開発やその信頼性評価など製品になる前の“材料”という研究分野があると知ることで、視野が広がるようです。

 本学科は、新素材の研究開発だけでなく、デバイス応用、AIを活用して新素材を開発するマテリアルズ・インフォマティクス、他にもかなり多くの分野・領域が存在し、アプローチも相当に広がりがあります。化学と物理を応用し、ものづくりのマインドを付加させたものが新材料の研究であり、それは宇宙開発にもAIにも繋がるのです。材料がものづくりで挑戦できることは無限に広がります。

― 本学科で学べること

興味を持ったことを深く探求する力、
高い専門性と独創性を身につける。

 材料の研究は、物理・化学・数学などの基礎学問をもとに実験と検証を繰り返し進めていきます。材料研究では予測とは異なる結果が出ることも多く、素材の組み合わせやアプローチを変え、挑戦し続けることに醍醐味があります。研究を成功させるためのモチベーションの基には、「科学が面白い」と感じる純粋な気持ちがあるものです。楽しい、面白い、興味があるというポジティブな意識が、知識や専門性、独創性を伸ばす土台となるのです。

 いまは経験したことのない災害や感染症の流行などの社会情勢の中、これまで以上に未知な世界と対峙しています。本学科で学ぶ学生には、「材料の研究」を通して、さまざまな状況でどこにでも通用する高い専門性や、ひらめきやアイデアを大切にした独創性を身につけることで、いまの社会を渡り歩く力が備わると思います。

― 就職と将来の展望

118名に対して200社2,500名分の求人が殺到。
圧倒的に就職に強い。
企業、ひいては未来の社会に貢献できる人材に。

 おかげさまで本学科は就職にも大変強いことで知られています。ほぼ9割の学生が大学院に進学し修士課程修了後に就職ポイント⑤]しますが、修了生は毎年100名ほどにも関わらず、200以上の企業から2,500名におよぶ求人や推薦枠をいただきます。主な就職先は、鉄鋼、金属に限らず、化学、電子機器、機械、自動車、鉄道、インフラなどの日本のものづくりを支える企業が名を連ねますポイント⑥]。本学科で培った高い専門性は企業に重宝され、研究開発部門だけでなく、管理や設計など活躍の舞台は大きいです。また、研究で磨いた根気と課題解決能力は、社会人として長く活躍する素地ともなるはずです。

 本学科で優秀な仲間とともに切磋琢磨し、未来の社会に貢献できる人材を目指して欲しいと思います。私たちはそのような学生の主体的な学びを支援しています。

⑤ 進路状況

■ 学部卒業生[120名]/110名が進学しました。
  • 進学/92%
  • 鋼鉄・非鉄・金属/2%
  • その他/6%
■ 修士課程[117名](9月修了者10名・3月修了者107名)/21名が進学しました。
■ 博士課程[26名](9月修了者6名・3月修了者20名)

[2018年度]

⑥ 主な就職先

鉄鋼・非鉄・金属

神戸製鋼所/山陽特殊製鋼/JFEスチール/住友電気工業/大同特殊鋼/DOWAホールディングス/日本製鉄/日立金属/三菱マテリアル など

自動車・機械

IHI/いすゞ自動車/川崎重工業/小松製作所/スズキ/SUBARU/ダイハツ工業/デンソー/トヨタ自動車/日産自動車/日本発条/日立建機/本多技研工業/マツダ/三菱自動車工業/三菱重工業/ヤマハ発動機 など

電子機器

NEC/NTTデータ/LGエレクトロニクス/オムロン/オリンパス/キヤノン/京セラ/サムスン電子/サンディスク/セイコーエプソン/ソニー/ TDK/東京エレクトロン/パナソニック/日立製作所/ヒロセ電機/ファナック/古河電気工業/三菱電機/村田製作所/ヤマハ など

化学・素材

旭化成/旭硝子/信越化学工業/住友化学/TOTO/東レ/日立化成/ブリヂストン など

大学・研究機関

NTT物性科学基礎研究所/大阪大学/産業技術総合研究所/チェコ科学アカデミー/鉄道総合技術研究所/電力中央研究所/東京工業大学/東京大学/東北大学/豊田中央研究所/物質・材料研究機構 など

その他

伊藤忠商事/大阪ガス/国土交通省/JR東海/JR東日本/住友商事/中国電力/中部電力/東京ガス/東京都庁/日本ガイシ/日本航空/野村総合研究所/北陸電力/みずほフィナンシャル・グループ/ヨネックス/LIXIL など