吉田 昌弘
DOWAエレクトロニクス株式会社
[材料科学総合学科 2011年卒業]
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修士課程
[109名]
博士課程
[26名]
株式会社神戸製鋼所/JFEスチール株式会社/住友電気工業株式会社/大同特殊鋼株式会社/DOWAホールディングス株式会社/日本製鉄株式会社/JX金属株式会社/日立金属株式会社/三菱マテリアル株式会社/日立金属株式会社/ほか
トヨタ自動車株式会社/株式会社IHI/日産自動車株式会社/本田技研工業株式会社/三菱重工業株式会社/東京エレクトロン宮城株式会社/富士ゼロックス株式会社/ほか
ソニー(株)/株式会社東芝/パナソニック株式会社/京セラ株式会社/株式会社村田製作所/キオクシア株式会社/東京エレクトロン株式会社/富士通株式会社/ほか
住友ベークライト株式会社/信越化学工業株式会社
国立研究開発法人物質・材料研究機構/東北大学/埼玉大学
大日本印刷株式会社/日本ガイシ株式会社/TOTO株式会社/AGC株式会社/東海旅客鉄道株式会社/東日本旅客鉄道株式会社/伊藤忠商事株式会社/三井不動産株式会社/特許庁/ほか
DOWAエレクトロニクス株式会社
[材料科学総合学科 2011年卒業]
インタビューを読む卒業後、非鉄金属メーカーで電子材料の研究開発に携わっています。扱う材料は多岐に渡りますが、本学科で学んだ材料科学の基礎となる知識や考え方は非常に役立っています。特に、世界トップレベルの実績を生み出し続けている先生方から御指導をいただき研究を進めた経験は、東北大の材料系だからこそ得られた貴重なものだと感じています。世界をリードする研究者の姿から学べることは多く、材料の研究者に限らず唯一無二の人材へと成長する絶好の機会になると思います。ぜひ皆さんも材料研究の最先端に携わり、自分と世界の未来を磨き上げていきましょう!
パナソニック株式会社
[材料科学総合学科 2006年卒業]
インタビューを読む私は博士課程前期を修了し、パナソニック株式会社に入社、電気自動車などの環境対応車向けの車載部品の開発をしています。 パナソニックは家電のイメージがあると思いますが、くらしに関わる多くの商品があり、素材からシステムまで幅広く開発しています。私が開発している大電力をコントロールする車載部品も電気だけでなく、材料の知識も重要となる製品です。様々な分野の技術者とともに課題を乗り越え製品を作り上げていくことは、苦しくもあり楽しく、やりがいを感じています。 東北大学工学部とパナソニックは同じ100年の歴史があります。大事にしてきた想いと時代に合わせた変化によって今があると思います。先が見通し難い時代だからこそ、基礎となる知識や考え方を身につけ、時代に合わせ柔軟に対応することが重要と考えます。 これからも「A Better Life, A Better World」の実現を目指し、過去に学び未来に挑戦していきたいと思います。
石福金属興業株式会社
[材料科学総合学科 2017年卒業]
インタビューを読む大学院を修了し、石福金属興業に入社しました。貴金属に特化しており、製品の開発、加工、及び回収・精製までを一貫して行っている点に惹かれました。また、工業用・医療用・宝飾用など多岐にわたる分野で1万種類を超す製品を供給してきた点に魅力を感じました。現在、私は燃料電池触媒に携わっており、より良い性能の製品を作るにはどうしたらよいかを考え、実際に手を動かして製品を作る仕事をしています。毎日学ぶことがあり、楽しんで仕事をしています。1つのテーマを複数人で担当するため、科学的な思考力だけでなく自分の仕事に責任を持ち期日までに行うスケジュールの管理とコミュニケーションも重要であると実感しています。モノを材料から見る重要さや材料を変えることで性能を向上させる面白さを学んだ6年間は、自分自身のキャリアに良い刺激を与えたと感じています。本学で学んだ「材料の知識」と「研究への取り組み方」を十二分に生かし、今後も技術開発に邁進していきたいと思います。
キオクシア株式会社
[材料科学総合学科 2011年卒業]
インタビューを読む私はキオクシア株式会社の四日市工場でスマートフォンなどに搭載されているNAND型フラッシュメモリの製造における薄膜成膜プロセスの量産技術の確立に取り組んでいます。半導体メモリ工場として世界最大規模の四日市工場では日々最先端の技術や装置に触れています。 私がこれまでに行ってきた仕事は世界に先駆けた最新設備の量産導入やプロセス条件の変更による歩留り(製品の良品率)の改善などです。中には100億円を超える損益改善につながった非常に大きな成果もありました。これらの仕事を行う中で大学時代に学んだことが多く役立っていたことに驚いています。例えば腐食性ガスを取り扱う半導体プロセスでは腐食防食の知識が役立っていますし、様々な種類の薄膜を幾重にも積層するNAND型フラッシュメモリでは薄膜の応力が非常に重要になってきています。 これからも大学時代に学んだ知識を武器の1つとして最先端の技術開発に取り組んでいきたいと思います。
トヨタ自動車(株)
[マテリアル開発系 2004年卒業]
インタビューを読む『どのような製品も、材料によって機能が向上する』と、東北大学のオープンキャンパスで学び、私も材料を変えて世の中を良くしたい と考えるようになりました。入学後は、材料の地図である状態図や、金属の加工方法を学び、この知識をモノづくり、特に、人の命を預かるクルマ作りに活かしたいと考え、トヨタ自動車に入社しました。現在は、新製品の生産ラインを作る、「生産準備」という仕事をしています。世に出す前に「試作」を行い問題が無いことを確認しますが、目論見通りにいかないことも多く、様々な部署の方と知見を合わせて解決していきます。いざ、大量生産にむけては、数百人規模の力を合わせ、億単位の投資を行い、期日通りに100%良品を流せるよう生産ラインを仕上げます。ダイナミックさと緊張感を感じながら仕事を推し進め、できあがった生産ラインで製品が流れてくるのを見る時は、何物にも代えがたい感動を味わうことができます。今後、持続可能なモビリティ社会の実現に向け、HV、PHV、EV、FCVといった電動車での仕事が待っていますが、今まで培った知見をもとに、挑戦し続けます。一緒にクルマの新しい可能性を探索していきましょう。
日本軽金属株式会社
[材料科学総合学科 2018年卒業]
インタビューを読む現在、自動車用熱交換器の材料開発に携わっています。熱交換器とは、気体や液体など二流体間の熱エネルギーを交換する機器で、エンジンの冷却や、車内温度の調整のために利用されています。大学における研究では、各個人が1つのテーマを持ち、1人で実験を進めますが、企業においては、同時に複数のテーマを持ち、社内のチームの人たちと協力しながら実験を進めます。その点、企業での開発には、大学よりも協調性やマルチタスクへの対応能力が求められると感じております。その一方で、実験に取り組む姿勢は、大学においても企業においても同じであり、実験から得られた結果に対して常に原因を考え、それを論理的に示すためにまた新たな実験を行います。このことは、大学での講義や研究室での活動を通して培った経験がそのまま生かされています。これからもこの姿勢を忘れず、研究活動に取り組んでいきたいと思います。
日本製鉄株式会社
[材料科学総合学科 2016年卒業]
インタビューを読む自動車、造船、建築、土木など世の中には多くの鉄の用途があります。それらの鉄を作っているのが鉄鋼会社であり、私は現在,鉄鋼会社の研究所で自動車のエンジンやトランスミッションで用いられる鉄鋼材料について研究開発を行っています。鉄は熱処理温度や冷却速度、加工条件、添加元素により繊細に材料組織が変化し(例えば熱処理温度が5℃違うだけで組織が全く異なることも!)、強度や腐食等の特性に直接影響します。それらの材料組織をコントロールすることで、特性の向上を目指します。例えば、強い鉄を作ると、自動車に用いられる鉄の量を減らすことができ、燃費の向上,CO2の削減に貢献できます。東北大学材料系は鉄鋼研究のメッカであり、6年間偉大な先生方の下で学べたことは本当に幸運であり、良い経験でした。まだまだ研究者として駆け出したばかりですが、東北大学で学んだ知識を生かして世の中に役立つ製品を開発できるよう精進します。
日本軽金属(株)
[材料科学総合学科 2018年卒業]
インタビューを読む「材料」は暮らしの基盤であり、様々な分野に広く関係する存在です。これはそのまま本学科の特徴でもあり、研究室配属や就職において学生が選択できる道は多岐にわたります。私は卒業後、アルミニウムを扱うメーカーに入社し、お客様からの依頼に対して原因の解明や改善等を行う研究開発職に就いています。まだ経験は浅いですが、大学で学んだ多くのことが日々の業務で活きていると実感しています。皆さんにとっても、どの分野でも通用するような総合力を学ぶことのできる貴重な環境であると思います。仲間と切磋琢磨しながら東北大学での学生生活を楽しんでみませんか?
グローバルアドバンストメタルジャパン株式会社
[材料科学総合学科 2007年卒業]
インタビューを読む皆さんはタンタルというレアメタルを聞いたことがありますか。非常に希少な金属ですが、実はスマホなどの電子デバイスのコンデンサの材料として陰ながら皆さんの生活を支えています。材料科学総合学科ではこうしたマイナーな金属から鉄鋼材料などのメジャーな金属まで幅広く学ぶことのできる学科です。就職先も素材メーカーに限らず自動車メーカーや電機メーカーなど幅広く選択することができます。材料という分野に興味のある方はぜひ進路の選択肢の一つに選んでみてはいかがでしょうか。
新日鐵住金株式会社 常任顧問 金窓会(同窓会)会長
[昭和44年 金属工学専攻 修了]
インタビューを読む自動車、高層ビル、家電製品、豊かな現代文明を支える鉄鋼材料。中国など後進国の発展で世界の鉄鋼生産は昨年13億トンを突破、毎年1億トン近いペースで増えています。しかし鉄を1トン造ると約2トンのCO2ガスが排出される。東北大学は本多光太郎先生以来、鉄鋼研究のメッカです。CO2を減らすプロセス開発、鉄鋼の性能を上げる商品開発、当社でも多くの卒業生が情熱を燃やし研究開発に挑戦しています。
日本冶金工業株式会社 取締役相談役
[昭和46年 工学部金属材料工学科 卒業]
インタビューを読む鉄鋼という言葉は古臭いというイメージがあるかもしれませんが、現在でも世界中で盛んに研究が行われ、成長し続けている産業です。特に日本の技術水準は高く、高機能材の開発では世界のトップを走っていると自負しています。東北大学は鉄鋼の研究で最も多くの実績がある大学のひとつで、今では多くの卒業生が日本の鉄鋼産業を支える技術者となっています。実際に当社には何人もの卒業生がいますが、ステンレス鋼や高ニッケル合金の製造や研究ですばらしい成果をあげており、今後も大きな期待を寄せているところです。
株式会社豊田中央研究所 代表取締役 所長
[昭和48年 金属材料工学科 卒業]
[昭和54年 金属材料工学専攻 博士後期課程修了]
自動車は、材料の墓場と言われるほど、実績ある材料しか使われてきませんでした。その理由は、自動車用材料の大半が構造材料であり、また、信頼性とコストに対する要求が極めて高いためです。しかし、最近は状況が少しずつ変化しています。環境・エネルギー・安全に対する要求の高まりから、新しい機能材料の開発が強く求められるようになってきました。触媒、二次電池、燃料電池、半導体、磁石、熱電材料、接合材料、塗料、樹脂ガラス・・・。材料技術が自動車を制する時代の始まりです。
古河電気工業株式会社 メタル総合研究所
[平成21年 知能デバイズ材料学専攻 修士課程修了]
インタビューを読む私は自動車配線の研究に携わっていますが、本学で得た材料の知識を多く用いています。どのような技術の発展も、根底を支えるのは材料技術であると思います。他系に比べ地味に思われがちですが、一度触れると非常に面白い分野だと思うので、ぜひ皆さんにも興味を持って頂きたいです。 また学生時代は部活に所属し、大切な人達に出会えました。材料系に限らず、勉強だけでなく、部活・サークル・バイトなど、様々な出会いのある場所だと思います。
JFEスチール株式会社 スチール研究所 鋼材研究部
[平成22年 金属フロンティア工学専攻 博士課程修了]
インタビューを読む鉄鋼材料は自動車、家電といった生活に身近なものから、船舶、建造物などの大型設備まで多岐に渡る分野で使用されており、古来より私達にとって必要不可欠な材料の一つです。現在の職場では、環境に優しい鉄鋼材料開発を通して社会に貢献できる喜びを感じながら、日々業務に取り組んでいます。その上で、本学で学んだ「材料に関する幅広い知識」、そして「モノ作りのイロハ」は今の私にとって大きな財産となっています。
NECトーキン・ENC事業部・第一製品 技術部
[平成22年 金属フロンティア工学専攻 修士課程修了]
インタビューを読む材料と聞くとただ単に金属やプラスチックを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、例えば高温への耐性のある材料がなければ自動車のエンジンを製造することはできませんし、半導体素子を構成する材料の改善なしに今日のパソコン、携帯電話の発展はなかったでしょう。この様に材料は社会になくてはならない製品を支える存在であり、また性能を決定する重要な要素です。あなたも材料開発によって世の中をより便利にしてみませんか?
ボッシュ株式会社
[平成15年修士卒]
インタビューを読む平成25年7月30日(火)、31日(水)にオープンキャンパスが開催されました。その中で、「女子高校生のためのミニフォーラム『工学にかける私の夢』」が工学部で開催されました。本系からは、30日に卒業生の白石安代さん(平成15年修士卒・ボッシュ株式会社)、31日に大学院生の草間知枝さん(金属フロンティア工学専攻大学院博士課程1年)が、集まった女子高校生に向けて講演を行いました。
講演の後、卒業生の白石さんに本系を志したきっかけや、ご自身の学生生活、そして社会に出てからの仕事内容や転機について、お話をうかがいました。
私は、生まれも育ちも宮城県仙台市です。出身は宮城第二女子高校(現:仙台二華高校)で、大学もせっかく仙台に東北大学という大きな大学があるから、と志望しました。そもそも理系の進路を志したのは高校生の時。文系・理系にクラス分けをする時に、考えました。当時科目では英語が一番好きでした。でも、得意な科目を生かして文系の大学に進んだ場合、就職する時どのような職業選択があるのだろう?と考えて、ちょっとイメージしづらかったんですね。一方、理系に進んだ場合は、メーカー勤務や研究者など、職業をいくつか具体的にイメージできたんです。理系なら幅広い職業につくことができるんじゃないかな、と考えました。
東北大学の中でも材料系を選んだのは、あまり他の大学にない珍しい学問に興味を惹かれたからです。調べてみたら、全国の大学でも材料の学科は少なく、その中でも東北大学の材料は一番実績を上げている。せっかく大学で学ぶなら、他のみんなのやらない、マニアックな(笑)ことをやりたいと思いました。
大学生活がスタートしてまず感じたのは、時間の自由度がすごく高い、そして雰囲気も自由ということ。みんな授業だけでなく、クラブ・サークル活動やアルバイトも充実させて、好きなことをしながらしっかり勉強もしている……そんな人が多くて。「あ、こういうところが大学なんだな」という開放感を感じましたね。私もアルバイトをたくさんしました。一番長かったのは塾講師と家庭教師で、学部の時から大学院生まで6年間続けました。他にも、工場での製造業や試食販売など、いろいろやってみました。働くのが好きで、色々な職業を体験したかったんですね。大学生と異なる年齢層の社員の方などと一緒に仕事をして、社会人の生活を垣間見ることができるのも、いい経験でした。
サークルは、学部生の時はさだまさし研究会に入っていました。高校生の時、フォークソング同好会にいた友人に「東北大学にはさだまさし研究会があるそうだから、一緒に入ろう」と誘われて。活動内容は…さだまさし一色というわけではなく、ギターを弾いてフォークソングを歌う人、部室でゲームする人、さまざまでした。私もギターをちょっとたしなんではみたのですが、難しいコードで挫折してしまいました(笑)。
4年生になると研究室配属になります。私は進藤研(材料システム設計学分野)でした。研究室を決める前の見学期間にいくつか見て回ったんですが、進藤研で勉強していた方々がとても面白くて、波長が合いそうな雰囲気だったんです。おそらく研究室では長い時間を過ごすことになるので、楽しそうな雰囲気が大事だと思い、決めました。
研究室では、みんな各々、自分のペースで過ごしていました。 私は圧電セラミックスという材料の機械的な挙動を、理論と実験データを重ねて調べていくというのが研究テーマでした。研究内容にもよるとおもいますが、徹夜してガチガチに研究という感じではなかったですね。私は日中型で、朝来て夕方帰っていました。一方で、夜型の人もいましたし。ですから、24時間、多分必ず誰かが研究室にいたと思います。
研究室生活で一番の思い出は、運動系のイベントです。男性が多いせいか、工学部の運動会、系の研究室対抗で駅伝、野球、サッカーと、とにかく運動系のイベントが多いです。研究はテーマによって皆別々ですが、運動系のイベントでは一致団結。みんなで優勝目指して練習して、試合に出て、打ち上げして……それがとても楽しくて印象に残っています。 進藤研は特に強いんですよ!私が在籍していた当時も、サッカーや野球、駅伝で優勝が続いていました。研究室見学の時に来た人にも「野球できる?サッカーできる?」と、聞いていて、運動が得意な人を勧誘していたようでした(笑)。
私自身は、運動はあまりしないほうだったのですが、大学院の二年間は、スノーボードに打ち込んでいました。冬のシーズン中は、山形のスキー場に多い時は週3回通っていました。朝4時に行って、滑って、9時に大学に戻ってきて、講義を受けたり研究をしたりして、そして夕方からバイト(笑)。学部生と違って大学院生は授業より研究がメインなので、両立できたのだと思います。
就職活動の時期になり、リクルーターの先輩に話をうかがったり、会社見学・工場見学に何ヶ所か行ったりしました。その中で、自分が研究していた専門分野が生かせそうだったこと、OBの方から具体的な就職してからの仕事内容について詳しく説明していただいたことが決め手になり、自動車部品の会社であるボッシュに就職を決めました。おかげで、ほとんど不安なく就職することができました。 進藤研出身者の先輩が多く、私の時も同期で2名同じ会社に入りました。
入社してから二ヶ月は集団で研修を受け、その後希望を聞いて配属になります。私は材料の知識を生かせる部署を希望し、日本で研究開発のリードを取り開発から製造まで手がけている部署に配属になりました。 仕事の内容は、車両に載せる製品を自分で設計して、CADでデザインし図面を引き、試作品なども自分で現場に行って部品を使って、自分で作った図面を見ながら組み立る……という、ひと通り、設計からモノを作り上げるまやっていました。自動車部品というものは自動車の中にあって外から見えないものなのですが、その自動車が市場に出た時に「私が設計した部品が入っている」と思えるのは、やはり設計者として非常に嬉しい瞬間ですね。
エンジニアとして6年間勤務し、うち後の2年間は技術者の仕事だけではなく、プロジェクトマネージャの仕事も兼ねていました。このことが後の転機となりました。一つのプロジェクトが始まってから、最終的に車両として量産が始めるまで、スケジュールを立てたり各イベントを調整したりしていきます。 車両が世の中に出るまでには、お客様のイベント・試験のスケジュールによって、どのタイミングで試作品を出して、どういうふうに量産準備をして…などということを、いろいろな部署の人……製造部門、品質部門、さまざまな人と交わりながら考えていきます。こんなにたくさんの仕事があるんだと、面白く思いました。
でも、教えてくれる人も相談できる人もいないままプロジェクトマネージャの仕事を始めたので、最初はビジネス書を読んで勉強しましたね。やがて体系立てて学びたいと思うようになり、経営大学院(ボンド大学経営大学院)に入学を決めました。 働きながらでしたので、仕事以外の時間のほとんど……土日、帰宅してからの時間、通勤時間は、勉強にあてました。開講時期が限定されている科目を複数履修していた時は、寝る時間を取るのも難しいほどでした。大変でしたが、三年位かけて修了し、MBAを取得しました。 同じ頃、たまたま以前の上司から「マーケティングのポジションが空くから来ないか」とお誘いがありまして。勉強しているマネジメントも生かせるし、面白さを感じていたところだったので、方向転換して移ることになりました。今、三年目です。とても楽しんで仕事をしているので、しばらくはこの方面でキャリアを積んでいきたいと思っています。
理系の大学で学んだことは、私のように仕事が変わっても役に立ちます。ロジカルに考える力がある、数字に強いという点は本当に有利ですね。新しい技術についても、基礎的な学問の知識をもとに応用をきかせて理解することができます。マーケティングのお仕事は、例えば、営業と一緒に出掛けて新しい製品をプロモーションしたり、東京モーターショーなどの展示会で説明員をしたりします。社内では、担当している製品、事業部の収益性の管理、売上、チーム戦略や製品戦略を事業部のトップの人と考えていく、参謀のようなお仕事もあります。ビジネス寄りですが、部品だけでなく自動車全体についてひと通り説明できるような幅広い知識が求められています。エンジニアとして自分で設計・製造にかかわった知識の裏付けがあるので、仕事する上でメリットを感じています。
今、会社ではダイバーシティ(多様性)を非常に重視していまして、積極的に女性のエンジニアリング職を採用しようとしています。私が入社したときは女性が60人中2名だったのが、今は半分くらい女性です。エンジニアリング部門でも2,3割くらいまで増えました。 自動車業界にはどうしても男性が多くなってしまいがちです。男性だけですとイノベーションは生まれにくいですし、同じような人ばかり集まると組織も硬直してしまいます。女性がすごく求められていて、追い風が吹いている状態です。ただ、理系の学問を大学で専攻する女子学生の絶対数が、まだまだ少ないと感じますね。
ッシュでは、女性が結婚や出産などでライフスタイルが変化しても、仕事を続けられるよう取り組んでいます。産休や育児休暇、さらに時短勤務や在宅勤務も選択できるようになっています。例えば管理職でも、午後4時までの時短勤務と、週に1,2回の在宅勤務を併用して、育児と仕事を両立している方もいます。また周囲でもサポートしていこうという雰囲気が定着しています。男性の育児休暇取得の実績もあります。最近は携帯とネットがあればどこでも仕事ができるようになってきているのも、そのような働き方を後押ししています。
とにかく一番言いたいのは、理系に進むと、その後の選択肢の幅が広がるよ、ということですね。
高校生の方にとっては、理系は数学や理科の科目が多くて、敬遠したくなるかもしれません。でも学生の時に基礎的な理系の知識が身についていたからこそ、社会に出てから、良かったと思うことがとても多いです。ぜひ理系の進路を志して欲しいなと思います。そして社会に出て、一緒に働けるといいなと思います。
いいことがたくさんあります。損はないですよ!
(平成25年7月取材)