光源がもたらす現代文明
私たちの生活に光は欠かせません。古代から人は光を求め、暗闇では工夫して明かりを用い生活しました。昔は松明 など原始的な炎の明かりに頼っていたものが、現代の世の中ではさまざまな発光体を用いることで、暗闇を明るく照らし多彩な生活を楽しむことができるようになりました。
近年の青色LED (2014年・ノーベル物理学賞)の発明は、私たちの生活を変えるほどのインパクトがあり、いわば光源変革をもたらしました。人類の文明は光源とともに進化し、発展してきたとも言えるでしょう。
電気エネルギーを使わず、“力”で光る物質の持つ可能性
さらなる革新には新しい発光体が必要です。2008年にノーベル化学賞を受賞した緑色蛍光タンパク質は、生体反応で光を放出する物質として、生命科学研究に革命をもたらしました。
LED照明には電気エネルギーが利用されていますが、徐研究室では、電気エネルギーを使わずに、わずかな力を加えることで光る全く新しい材料を実現し、国際的な関心を集めています。それが “応力発光体”です。圧縮、引張、摩擦だけでなく超音波、ミクロな振動により発光する材料で、私たちが発見した、日本発かつ世界初の材料です。
私たちは、現在国内外において、新しい応力発光体の開発やその機構解明といった基礎研究、ならびに応力発光を用いた構造物安全管理、インフラ、モノづくり、エネルギー・環境、AI、IoT、生命等と多岐にわたる応用について研究しています。
近い将来、『飲む発光体』が誕生?
光は診断技術だけでなく、私たちの身体の治療にも活用されています。皮膚の治療法のひとつである光線療法は、アトピー性皮膚炎や乾癬などの疾患に効果があります。発光体は、体表面だけでなく、光が届かない深部へピンポイントに光を届け、治療することも可能なのです。
私たちが開発している生体に毒性のない発光体だからこそ光診断と光治療可能な『飲む発光体』も現実味を帯びています。
私たちは高機能な光の変換材料を開拓し、未来社会に貢献します。発光体の神秘と未来の可能性について、一緒に探求していきましょう。