大学院 工学研究科
リカレント講座

材料システム工学専攻 「先進材料システムの加工プロセスと評価」

日時

令和元年7月8日(月) ~ 7月9日(火)

令和元年7月8日(月)

8:50~12:10 佐藤 裕 教授
13:30~16:50 正橋 直哉 教授

令和元年7月9日(水)

8:50~12:10 増本 博 教授
13:30~16:50 成田 史生 教授

場所

東北大学工学研究科マテリアル・開発系 教育研究棟1階 講義室2

講義科目

1.「固相接合技術とその金属学」

佐藤 裕 教授(接合界面制御学)
新しく開発された金属材料は、溶融・凝固による欠陥発生や熱影響に伴う材質劣化が生じやすいため、金属を溶かさずに固相状態のまま接合する技術、すなわち固相接合技術が注目されている。本講義では、固相接合における接合メカニズムや特徴を金属学的に解説するとともに、各種金属材料の超音波接合と摩擦攪拌接合を対象として、接合部の組織形 成機構、諸特性分布を支配する金属組織学的因子の解明とその制御指針などについて述べる。さらに、次世代のデバイスや構造物の製造において重要な“異種材料接合”への適用可能性について概説する。

2.「金属表面科学と制御による高機能化」

正橋 直哉 教授 (金属材料研究所)
金属表面の近傍では、金属原子同士を結び付ける自由電子が表面から内部に引き込まれ るため、自由電子の存在確率が低くなり、金属中の電子が非局在化(原子核の周囲に局在しない)せず、不安定な準位となる。固体電子を固体外に取り出すのに必要なエネルギー(仕事関数)が低下するため、金属はプラスイオンになり易く、酸化や吸着等の反応が起こり易い。こうした金属表面の特徴を活かした表面改質を施すことで、高温や腐食性環境下での基材保護だけでなく、審美性・親水性・抗菌性・反射性・接着性等の新たな機能を付与することを可能にする。本講では金属表面の基礎を講義し、その応用として講演者が取り組むチタンの表面改質による、環境浄化や生体適合性等の高機能化について紹介する。

3.「学際的融合による複機能材料の開発」

増本 博 教授 (学際科学フロンティア研究所)
材料には、電子材料、光学材料、磁性材料といった単機能材料ばかりではなく、太陽電 池、熱電材料、圧電材料といった複合機能材料がある。複合機能材料とは、複数の機能が 同時に発現したり、エネルギーの形を変換したり、2つの機能の融合により新しい機能性 が発現する材料である。今後の地球環境・高齢化などの多くの課題の克服のためにも、よ り高機能・新機能を有する従来には無い複合機能材料の開発が求められている。本講義で は、いくつかの複合機能材料を紹介するとともに、学際的な異分野融合による新しい複合 機能材料の開発手法や開発例などについて述べる。

4.「複合材料システムのマルチスケール力学と強度・機能設計」

成田 史生 教授 (材料システム設計学)
圧電・磁歪材料は,航空機・宇宙構造物・ロボット・医療機器等への応用が期待され, 以前より電子デバイス(センサ,アクチュエータ等)への実用化が図られているにもかか わらず,電磁場の影響を考慮した応力・変形状態や破壊・疲労に関する研究は少ない現状 にある。また,超電導応用・航空宇宙機器等の大型極低温機器の設計および構造健全性評価には,クライオメカニックスによる構造材料(金属材料・溶接継手,織物有機複合材料 等)の極低温・強磁場力学特性解明および材料開発のための試験方法標準化を基本とする 設計基準の開発研究が肝要である。本講義では,以上の点に鑑み,電子複合材料や極低温構造材料等の先端複合材料システムを対象に,マルチスケール力学および強度・機能設計に関する基礎的事項を取り上げ,現在までの研究状況と将来展望について概説を行う。

単位認定と修了証について

なお、東北大学大学院後期課程材料科学系に編入学を希望する方で、本講座受講後にレポートを提出し合格した方には、編入学後に後期課程の専門科目である「材料システム工学特論」2単位の認定を予定しています。また、在学生以外の受講者には受講後に修了証が授与されます。