タイトル

環境に優しい鉄鋼材料創出教育プログラム

指導教員の声

安斎浩一教授 (金属フロンティア工学専攻 創形創質プロセス学講座 創形材料工学分野)

安斎教授

――安斎研での研究分野と、環境に優しいというテーマの関わりについて教えてください。

基本は鋳造についての研究をしています。金属を溶かして型に入れるのですが、どうしても欠陥が出て来ます。やり方、温度、鋳造条件によって変わる。その最適な方法はベテランが経験等で培った技術でやってきましたが、それでは次の世代に技術を引継ぐのも難しい。そこで、コンピュータ上で型に入れて固めることを模擬し、欠陥の出易い条件などをある程度調べる、これが当研究室で開発・研究している鋳造シミュレーションソフトです。

鋳造には多くのエネルギーを必要とします。そして欠陥が出易いわけですから何回も試作を繰り返さなければならない。これをシミュレーションでなるべく減らすことができるので、エネルギー、コストの削減に貢献しています。また、自動車を例にすれば、エネルギー消費の少ない効率のよいエンジンを設計するのは機械工学の分野ですが、それを実現するのは鋳造技術です。H-IIAロケットも、飛行機も、エンジンはすべて鋳造でなければできません。ですから鋳造技術が進歩しない限り、エンジンの性能は上がらないし、軽量化も実現できない。複雑な形状の部品を安価に製造できるのが鋳造技術なのです。

――本プログラムに学生が参加して、どのような成果がありましたか。

シミュレーションは欠陥をなくすための道具であって、それ自体が目的ではない。道具と目的の間が空いているわけです。鋳造は現象が非常に複雑で、単純化しモデル化して作りますが、どこをどうすれば本質的なところを損なわずにできるか、論理的にいかないことがある。これは実際のものづくりを経験しないとわからないところなんです。実際に体験すると、こういうことなんだ、じゃぁこういうところに注意して作ればいい、というように実感できます。ツボを押さえた計算をしていれば本質的な部分は答えに現れてくるはずです。

ものづくりの立場では何が必要か、今回のインターンシップに参加した学生は、それを肌で感じてきたようです。大学としてこだわる所はあって、それは答えの出ない永遠の課題のようなものだけど、それにちょっと手を加えると現場で喜んでもらえる。今後どういう方向に手を加えていけばいいか、進むべき方向が見えてきたようですね。

(平成19年1月24日取材)

学生の声

プログラムに参加した安斎研の学生さんに感想をお聞きしました。
ページのトップへ