東北大学 大学院工学研究科・工学部 マテリアル・開発系

プレスリリース

2003年

広周波数帯域において高出力なテラヘルツ波の発生

2003年04月04日(英国物理学会 Web版最新ニュース
知能デバイス材料学専攻 田邉 匡生 助手、須藤 建 名誉教授、小山 裕 教授

 東北大学工学研究科の田邉匡生助手、須藤建名誉教授、小山裕教授らの研究グループは半導体研究所と共同で、GaP結晶中の光学フォノンを活用することにより、0.5~7.5THzの周波数帯域(波長でいうと40~600 µm)において、高出力(ピークパワー:0.8W)にテラヘルツ波を発生させることに成功した。 テラヘルツ波とは電波と光波の中間に位置し、その光源の開発が遅れている電磁波領域である。

 非線形光学効果のひとつである差周波発生によりGaP結晶中におけるフォノン-ポラリトンを励起することにより、周波数可変でコヒーレントなテラヘルツ波の発生に成功した。GaP結晶に入射させる2つのビームの角度を平行からわずかにずらして位相整合(ノンコリニア角度整合)させることにより、周波数可変な高輝度のテラヘルツ波発生が実現した。

 テラヘルツ帯の周波数はタンパク質などの生体関連分子や高分子材料、いわゆるマクロな分子における骨格振動などの固有周波数に対応している。テラヘルツ波は超高速光通信技術のみならず、物質科学に基づく医学・薬学などへの応用が期待されている。生体組織のイメージングや半導体基板の検査、材料の非破壊検査などへの応用が期待される。

角度位相整合によりGaP結晶から発生するテラヘルツ波

角度位相整合によりGaP結晶から発生するテラヘルツ波