東北大学 大学院工学研究科・工学部 マテリアル・開発系

プレスリリース

2005年

抵抗用金属線の中で最も高い電気抵抗値を達成

2005年03月23日(日刊工業新聞)
先進医工学研究機構 須藤 祐司 助手

 東北大学先進医工学研究機構の須藤祐司助手、同大学院工学研究科の石田清仁教授、貝沼亮介助教授、海野玲子大学院生らの研究グループは、一般用抵抗材料として最も高い比抵抗値を示すFe系合金の開発に成功した。本合金系の固有抵抗値は、2.0×10-4Ω・cm程度であり、現用の高抵抗材料に比較し約1.5倍高い。

 近年、電子・電気機器分野の発展に伴い、抵抗機器の高性能化、軽薄短小化が強く求められており、特に高い固有抵抗値・優れた温度特性を有する抵抗材料の開発が望まれている。現在、抵抗器用のエレメントの線材としては、主としてCu-Mn系(マンガニン)、Cu-Ni系(コンスタンタン)(~0.5×10-4Ω・cm)、Fe-Cr系、Ni-Cr系合金(ニクロム線)(~1.2×10-4Ω・ cm)がある。Cu-Mn系、Cu-Ni系は、温度特性に非常に優れるが、固有抵抗が小さく、一方、Fe-Cr系、Ni-Cr系合金は、固有抵抗が比較的高いが温度特性が劣っている。また、固有抵抗が最も高いとされてきたFe-Cr系合金は、高い強度を有するものの加工がやや困難であった。また、巻線抵抗器などに用いられる抵抗線として、現用材料は直径が0.025mm程度の線材が使用される場合が多いが、強度が低いと巻き作業中の断線の問題がある。今回開発された鉄合金は、極めて高い固有抵抗値を有すると同時に、優れた熱間・冷間加工性および1000MPa以上の引張強度を持つ。このため抵抗線の巻き作業中の断線問題を解決できる。さらに、本合金の固有抵抗値は温度に対する変化が極めて小さく、その温度係数を10×10-6 / K以下とすることができるので、精密抵抗材料としても使用が期待される。

抵抗用金属線の中で最も高い電気抵抗値を達成 抵抗用金属線の中で最も高い電気抵抗値を達成