東北大学 大学院工学研究科・工学部 マテリアル・開発系

プレスリリース

2006年

高分解能・広帯域の小型テラヘルツ分光装置を開発

2006年7月7日(日刊工業新聞)、2006年8月4日(河北新報
知能デバイス材料学専攻 田邉 匡生 助手、小山 裕 教授

 知能デバイス材料学専攻の田邉匡生助手と小山裕教授は(財)半導体研究振興会及び(株)テラヘルツ研究所と共同でテラヘルツ分光装置を開発した。

図1:高出力・広帯域の小型テラヘルツ分光装置

図1:高出力・広帯域の小型テラヘルツ分光装置

背景

 「光波」と「電波」の中間領域に位置し、周波数が10の12乗ヘルツ(THz)付近にあるテラヘルツ波はその発生が困難であるため、テラヘルツ領域の実用的な研究は極めて制約されていた。テラヘルツ波光源としては自由電子レーザやp-Geレーザなどあるが、いずれも巨大な設備や極低温を必要とするために基礎研究における用途が一般的であり、テラヘルツ波の活用は制限されてきた。

研究成果

 今回の研究では、(財)半導体研究振興会及び(株)テラヘルツ研究所と共同で高分解能・高出力・広帯域の小型テラヘルツ分光装置を開発した。広く一般的に用いられているYAGレーザを励起光源とし、テラヘルツ波の発振器にはGaP結晶を使用している。その原理には1963年に西澤潤一博士(元東北大学総長)により開発された「物質中における光学フォノンを励起する方式」を適用している。

 分光測定に用いるテラヘルツ波は高出力(最大1.5W)であるだけでなく発生帯域も広く、かつ周波数純度が高いので、広帯域(0.3-7.5THz)における高分解能(1GHz, 0.03cm-1)な高感度な測定が可能となる。大きさは幅90cm×奥行80cm×高さ130cmであり、汎用的な計測器としての利用が期待される。(株)テラヘルツ研究所において受注を開始している。