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貝沼・大森研究室|東北大学大学院工学研究科 マテリアル開発系 金属フロンティア工学専攻 創形創質プロセス学講座 計算材料構成学分野


TOPICS

ホイスラー型機能性新材料の創製 ―その相安定性と物性―

( 成果報告 ) 2008年度  2009年度 HTML版は準備中です。

研究費名: 日本学術振興会・基盤研究(S)
期間:平成18~21年度
研究組織:
代表:貝沼亮介 (東北大学多元物質科学研究所・教授)
分担:石田清仁 (東北大学大学院工学研究科・教授)
分担:大沼郁雄 (東北大学大学院工学研究科・准教授)
分担:藤田麻哉 (東北大学大学院工学研究科・准教授)
分担:及川勝成 (東北大学大学院工学研究科・准教授)

(背景と研究目的)

ホイスラー合金は、 図1に示すように 化学式:A2 BCで示されるBCC構造を基本とした典型的な3元金属間化合物であるが、単体ではいずれも非磁性元素からなるCu 2MnAl系ホイスラー化合物が強力な強磁性を示すことで古くから知られてきた。ホイスラー化合物は、今までに多くの合金系で見出されているが、近年、Fe,Ni,Co,Mnなどの身近な元素からなる合金系において強磁性形状記憶効果(Ni 2 MnGa, Ni 2 FeGa等)やハーフメタル特性(Co2MnAl, Co 2(Cr,Fe)Al等)といった興味ある現象が見出され世界的に大きな注目を集めている。

  • 図1 ホイスラー構造A2BCの原子配列
    図1 ホイスラー構造A2BCの原子配列
  • 図2 Ni2MnIn基合金 の熱磁化曲線
    図2 Ni2MnIn基合金 の熱磁化曲線

そのような中でごく最近、申請者らは、室温近傍で強磁性母相から非磁性相へとマルテンサイト変態を生じるNi2MnIn基形状記憶合金 を見出した(図2)。 また 、本合金は、7テスラの磁場によりマルテンサイト変態温度が30℃〜50℃も低下することを見出し(図3)、この現象を利用して磁場誘起逆マルテンサイト変態に起因する形状記憶効果を世界で始めて確認し(図4)” メタ磁性形状記憶効果 ”と命名した。

  • 図3 NiCoMnIn合金 の熱磁化曲線
    図3 NiCoMnIn合金 の熱磁化曲線
  • 図4 NiCoMnIn合金 のメタ磁性形状記憶
    図4 NiCoMnIn合金 のメタ磁性形状記憶

さらに、本合金系の磁気エントロピー変化は、現在最も実用化が有望視されているLa(Fe,Si) 13 に匹敵するものであり、磁気冷凍材料としても極めて有望であることが判明した。特筆すべきは、高温が強磁性で低温が非磁性であることから、通常の磁気冷凍材料とは逆に磁場印加により吸熱反応を誘起できる点、すなわち“ 逆磁気熱量効果 ”である。

また、申請者らは、Ni基ホイスラー合金ばかりでなく、トンネル磁気抵抗(TMR)デバイス材料の有力候補と位置づけられているCo基H合金系の相安定性を研究してきた。その中で、理論計算ではハーフメタル特性を有する事が予測されていたにもかかわらず理論通りの磁気特性を示さないCo2CrAlは、相安定性に問題があることを明確にした上で、Co2CrGa系が新規の” ハーフメタル ” ( 関連ページに リンク) として実用的に有望であることを世界に先駆けて示した。

  • 図5 Ni2CrAl 合金 のTEM組織(A2+B2)
    図5 Ni2CrAl 合金 のTEM組織(A2+B2)
  • 図6 Co2CrAl-Co2FeAl断面状態図
    図6 Co2CrAl-Co2FeAl断面状態図

本研究は、世界の先端を走っているこれらNi基およびCo基機能性ホイスラー化合物に関して、図2に示すとおりその磁気変態や相安定性を調査してその基礎物性を明らかにした上で、これら基礎研究の成果を利用し新規機能性ホイスラー材料の磁気アクチュエータ、磁気冷凍、TMRデバイスへの応用を目指すものである。

図7  本研究のインパクト
図7 本研究のインパクト

研究組織

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