研究内容

Ferrous Processing Metallurgy

セメンタイトの分解メカニズム解明

学部4年 川上 明人

地球温暖化の一因とされるCO2ガスの排出量削減は鉄鋼業において急務とされており、そのための研究開発が鋭意進められています。現在進行中の主なプロジェクトとして、欧州ではULCOSプロジェクト、日本ではCOURSE50が挙げられます。CO2削減のためのキーテクノロジーとして、CO2ガスの貯留(CCS)、再生可能エネルギーの利用、水素ガスの導入などが提案されています。その中でも、鉄鉱石還元における水素の利用には鉄カーバイド(セメンタイト(Fe3C))の生成・コーキング反応・シフト反応などを生じせしめる可能性があり、Fe-C-H-O系の諸現象は複雑です。その中でも、本研究ではセメンタイトの生成に着目しました。

セメンタイトは準安定相であり、鉄および炭素原子が近接した斜方晶構造の化合物であり、過去の研究によると、Fe-C-H-O系雰囲気における幅広い温度域でセメンタイトが生成することが知られています(図)。よって、鉄鉱石還元に水素を利用した場合、高炉内でセメンタイトが生成する可能性があります。しかしながらセメンタイトの高温における生成・分解挙動については未だ不明な点が多く、解明すべき課題も多く残されています。そこで本研究では、Fe-C-H-O系雰囲気においてセメンタイトがどのように生成・分解し、鉄鋼製錬プロセスにどのように影響するかを検討するため、セメンタイトの安定性について実験的に検討しています。

セメンタイトの分解メカニズム解明

図 900K近傍においてセメンタイトの生成が確認されている点
(Conejoらが作成した相平衡図上にプロット)

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