会長挨拶

金窓会150周年は、どんな世界?

 この度、藤野前会長の後任として金窓会会長を仰せつかった昭和58年金属工学科卒業の米澤と申します。どうぞよろしくお願い致します。
 金属工学科6講座でスタートしたマテリアル・開発系は、昨年創立100周年を迎えました。卒業生・修了生及び教員の皆さんにより構成される「金窓会」も97年近い歴史を持ち、8,000人以上の同窓生がおられます。私が東北大学に入学した1979年は、金窓会創立55年、共通一次試験スタートの年でした。高校3年の12月、レコード大賞で「青葉城恋歌」を聞き、学び舎として迷わず仙台の地を選びました。当時は新幹線もなく東京までは4時間、九州育ちの私には遥か遠い地のようにも思えましたが、住んでみると、土地と人の暖かさに故郷を感じたものでした。私自身、在学中は不真面目な学生で、勉強もせず、クラブ活動とアルバイトに明け暮れていました。レポートは同級生に頼り、授業はサボってばかり、優しい先生方のお陰で何とか卒業できたことを覚えています。しかし、研究室に入って実験には没頭しました。「萬谷研B室」は定宿になり、当時150円の学食カレーを食べながら、白金るつぼで、ひたすらサンプルを溶解したものです。ここで学んだ実践的なアプローチと忍耐力は、その後の会社生活の支えとなりました。長い人生の中で、僅か6年間の大学生活、3年足らずの研究室生活ではありましたが、自身の成長に大きなインパクトを残したことは間違いありません。
 さて、これから入学する学生さんが年満を迎えるであろう50年後はどのような時代になるのでしょうか? Chat-GPTは、「50年後の金属工学は、現在の技術進化のトレンドを基に予測すると、環境対応、材料特性の高度化、製造技術の革新といった面で飛躍的な進化を遂げると予想されます。」と謳っています。今から半世紀前に、星新一やドラえもんの世界の中でしかなかったスマホやEV、SNSにAIやIoTが現在これほどまでに普及するとは予想できなかったように、半世紀後の人口や地球環境、技術革新について誰も予想できません。今後50年間、我々は様々な環境変化、社会変革と闘いながら、地球を、そして人類を守り成長させていかなければなりません。そのために必要なものの一つが材料開発であり、それを生む人材です。これまでに培った経験と知識、そして挑戦するマインドで、今後とも当学科が材料開発で世界をリードし優秀な人材を供給する拠点であり続け、金窓会のメンバーである卒業生が様々な場面で世界・社会・産業界・教育界に貢献することを大いに期待しています。現在、金窓会は年1回の総会と懇親会を開催しています。また、九州、関西、東海、関東、東北北海道など各支部での独自の活動により卒業生の絆を深めています。同窓の絆は、何よりも深いものです。私も、これまで仕事や研究で困ったときには恩師や、同窓生を探し相談してきました。こうした人のネットワークを深めるためにも、卒業生、修了生の皆さんは、是非、総会や各支部の集いに参加してみて下さい。必ず新たな発見や課題解決の糸口が見付かることでしょう。皆さんの参加を心からお待ちしています。
 
        令和7年3月吉日     
        金窓会会長
                   米澤 公敏(昭和58年金工卒)