研究内容
主な研究テーマ
電気化学分野
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溶融塩イオン電池の開発
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リチウムイオン電池とは異なる
新たな電池の開発溶融塩イオン電池は、イオン電池の原理に基づいており、電池構造の重要部の一つの電解質に溶融塩を使用している。先行研究では、溶融塩イオン電池の温度として100℃から800℃程度が利用されている。 一般的な水溶液や有機溶液系と比較し、溶融塩イオン電池の利点を以下に示す。
1. 原材料が安い
2. 高速充放電が可能
3. 大型蓄電システムとして利用可能
この電池が実用化されれば、今後の電力供給システムの発展に寄与すると考えられる。
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溶融塩中での電気化学的珪化によるC/C
およびSiC/C耐酸化性材料の作製と評価 -
耐熱材料開発による高効率発電で
クリーンな未来の実現を現在、火力発電は我が国の発電量の大部分を担っており、重要な動力源である。しかし、近年では燃料コストの削減やCO2、NOxの排出、電力の安定供給の観点から高温発電による高効率化が望まれている。そこで、火力発電の高効率化の実現のため高い耐酸化性をもつ材料の開発を目指している。そのために当研究室では溶融塩電解を用いてC/CおよびSiC/SiCコンポジットそれぞれに対してのアプローチから耐酸化性に優れた炭素基複合材料を形成し、評価する。
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レアメタル製造における電気化学
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Li製造プロセスを
より効率的に、より安価に現在、最も主要な金属リチウムの製造方法は、鉱石から得た炭酸リチウムに塩酸を加えLiClを得たのち、LiClをKClと共晶塩にして電解するという、手間と時間のかかるプロセスとなっている。近年、炭酸リチウムから直接Liを製造するプロセスが注目されている。しかし、リチウムの析出が起こるカソード反応の研究は多く行われていますが、アノード反応の研究はあまり行われていない。そこで当研究室ではガス分析などを駆使してアノード反応における反応種の特定を目指している。
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高温物性分野
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溶融フッ化ケイ酸塩の輸送係数
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製精錬プロセスの高品質・効率化
と環境負荷の低減をめざして溶融ケイ酸塩は製精錬プロセスのスラグ・フラックスとして代表的な材料であり、その物質輸送特性 (粘度や拡散係数) は各プロセスに対して適正な範囲がある。物性値にはフッ化物濃度が大きな影響を及ぼすため、物性値の調整によく用いられているが、フッ化物は環境汚染の観点から溶出量について厳しい基準が設けられている。そこで、フッ化物がケイ酸塩の輸送特性にどれくらい影響があるかを詳しく調べ、適正なフッ化物を含むスラグの開発を目指している。
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懸滴法による高融点酸化物の密度と
表面張力の測定 -
人類未踏の超高温溶融酸化物の
熱物性値測定多くの材料プロセスにおいて、溶融酸化物の密度や表面張力などの熱物性値は非常に重要なパラメーターであるにもかかわらず、測定値の報告がない純酸化物がかなり多く存在する。これは酸化物が高融点であるため、温度維持が困難であることや、適切な容器がないことが原因である。そこで、無容器測定を実現する浮遊帯域溶融炉を用い、懸滴法によって高融点酸化物の密度と表面張力の測定を行っている。
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環境技術分野
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溶融塩電解を用いたAlリサイクル
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廃棄アルミニウムを
綺麗なアルミニウムに大変身!
〜サステナビリティの実現へ〜アルミニウムはリサイクルの優等生と呼ばれており、アルミ缶のリサイクルは95%を超えている。これは、再溶融してリサイクルされているが、元の材料の品質劣化を伴うダウングレードリサイクルである。アルミニウム産業の脱炭素及び持続可能な発展のため、スクラップ (廃材) から不純物を取り除くアップグレードリサイクルが求められている。我々の研究グループでは、スクラップを固体電極として用いる溶融塩電解再生法(SSE法) を開発し、アルミニウムの品質向上を伴うリサイクルを目指して研究を進めている。
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溶融塩電解を用いたNd磁石からNd-Fe合金
へのリサイクル -
環境負荷が小さく効率的な
Nd-Fe合金リサイクル方法の開発希土類金属は永久磁石材料に広く応用されており、希土類永久磁石は現在知られているなかで最も強力な永久磁石である。近年電気自動車の普及、及び、家電、IOTの発展により、Nd磁石の需要が増加している。Nd磁石の回収ポテンシャルも急激に増加している。本研究では溶融塩中で廃棄Nd-Fe-B磁石からNd-Fe合金を共還元する回収方法を開発し、その技術の確立を目指して現在も引き続き研究を行っている。
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機能性材料分野
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溶融塩におけるチタンイオン電気化学に
関する研究 -
低コスト作製が実現!
Ti合金を身近なものにTi-Al合金は、600°Cを超える高温でも、優れた耐食性と耐酸化性を備え、健全な機械的特性を保ち、宇宙部品や航空エンジンに応用されている。しかし、Ti-Al合金の加工は難しく、製造コストが高いため、一般的には普及していない。本研究の目的は金属を出発原料とし、電解条件とイオンの供給を制御し、組成が制御されたTi-Al合金粉末の製造プロセスを開発することである。
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金属熱還元によるAl-Mg-Sc合金の製造法
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より安価なAl-Mg-Sc合金の製造
を目指した
新たなプロセス開発希土類金属は永久磁石材料に広く応用されており、希土類永久磁石は現在知られているなかで最も強力な永久磁石である。近年電気自動車の普及、及び、家電、IOTの発展により、Nd磁石の需要が増加している。Nd磁石の回収ポテンシャルも急激に増加している。本研究では溶融塩中で廃棄Nd-Fe-B磁石からNd-Fe合金を共還元する回収方法を開発し、その技術の確立を目指して現在も引き続き研究を行っている。
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