研究内容

Material Flow Analysis

カリウム・窒素のマテリアルフロー解析

修士1年 溝口修史  学部4年 高橋麻理恵

カリウム、リン、窒素は、肥料3大要素と呼ばれる。これらは肥料として農業土壌に投与された後、人間によって作物そのものや畜産物を介して消費される。農作物の成長には、リン、カリウム、窒素の全てが必須であり、また、カリウムとリンは人間の身体を構成する重要な元素でもあるため、人間にとっても摂取は必要である。しかし、近年の急激な人口増加に伴う食料需要の増加によって、資源確保の必要性が叫ばれている。特にリンは推定枯渇年数が短く、戦略資源化が懸念されているため、これまでも日本やヨーロッパを始めとする国々でマテリアルフロー分析が行われてきた(※)。2011年には、当研究室でもリンのマテリアルフロー分析に関する研究が行われた。

ここで、カリウム資源とリン資源との共通点について考えると、輸入価格の高騰や、鉱石産出地の偏在性、また、いずれの鉱石も8割以上が肥料として使用される、といった点が挙げられる。先にリン資源は戦略資源化の懸念によりマテリアルフロー分析が行われてきたと述べたが、カリウムもリンほどではないが枯渇が懸念されていることと、カリウムとリンとの共通点が多いことを鑑みると、リン資源同様、カリウム資源も資源確保を目指す必要があると考えられる。

したがって、本研究での目的は、未循環利用のカリウムの所在と形態を明らかにし、より効果的なリサイクルを行うための定量的な基礎データを得ること、及び、得られたデータを基に具体的なカリウムの循環利用モデルを提案し、提案したモデルにより生じる経済・環境への波及効果を産業連関表を拡張した農業用塩類資源循環分析用IOモデルを用いて分析する、という点にある。

※Virtual phosphorus ore requirement of Japanese economy (Kazuyo Matsubae et al. : Chemosphere , 84 , (2011) , pp767-772)、The European Phosphorus balance (Christian Ott , Helmut Rechberger : Resour . Conserv .Recycl . , 60 , (2012) , pp159-172)

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