大学院・工学研究科 研究室
金属フロンティア工学専攻

創形創質プロセス学講座 計算材料構成学分野(貝沼研究室)

研究テーマ

  1. 状態図の実験的決定、及び、熱力学解析(CALPHAD法、第一原理計算)
  2. 拡散実験と計算機シミュレーション
  3. 相変態と組織制御に関する研究(析出、集合組織、粒成長、規則-不規則変態、マルテンサイト変態、磁気変態)
  4. 状態図・組織制御による新材料の開発(形状記憶合金,磁性材料,耐熱材料,高強度銅合金,低熱膨張合金,熱電材料など)
  5. 界面組織の解析と制御(Znメッキ鋼板など)

研究内容

本研究室では、「材料の地図」とも言われる状態図を実験により決定し、コンピュータ解析によりデータベース化しています。その成果である計算状態図により、従来、試行錯誤によってしか出来なかった材料開発が極めて効率的に行える状態になってきました。自らが世界に先駆けて構築してきた熱力学データベースを有効利用することにより、次世代の形状記憶(超弾性)材料、医療材料、耐熱材料、磁性材料、鉄鋼材料などの開発研究を行い、世界的な業績を挙げています。超弾性合金の一例として、鉄系超弾性合金が挙げられます。これまで、鉄合金では、ゴムのようにしなやかに変形できる超弾性効果を得ることはできませんでしたが、当研究室では2種類の鉄系合金で超弾性効果を得ることに成功しています。熱力学計算により、通常の鉄鋼材料では見られないα相(bcc構造)からγ相(fcc構造)へのマルテンサイト変態がFe-Mn-Al系合金において生じることを見出し、さらに、ナノ析出物、集合組織、結晶粒成長などの組織制御をすることで超弾性を実現しています。低コストであるだけでなく、応力の温度依存性が極めて小さい超弾性合金として、幅広い利用が期待できます。また、新しい機構による異常粒成長現象を発見しました。この技術をCu-Al-Mn超弾性合金に適用すると、熱処理だけでセンチメートル級の巨大結晶粒を作製することができます。自己復元性を有する超弾性部材として、地震に強い建築物・土木建造物を実現するための研究を産学共同で進めています。

図1

図1 Fe-Mn-Al-Ni合金のBCC母相、FCCマルテンサイトとNiAl-β粒子のHAADF-STEM像と各温度での超弾性特性。

図2

図2 サイクル熱処理により得られた巨大結晶粒を有するCu-Al-Mn超弾性合金。異常粒成長を利用することでセンチメータ級の結晶粒が得られる。EBSD法での組織解析(GROD方位差マップ)により、異常粒成長には亜結晶粒界が関与していることを明らかにした。