研究内容

Eco Material Processing

製鋼スラグを用いた被災地沿岸部農地の土壌改質

学部4年 金原 圭佑

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う津波により、東北地方太平洋沿岸部は多大な被害を被った。特に沿岸部農地では、海水の侵入による塩害や、海底由来のヘドロの堆積が問題となっている。

ヘドロ中には乾燥重量で1~4%程度のパイライト(FeS2)が含まれる。酸素分圧の低い海底ではパイライトは安定して存在するが、津波によって陸上に運ばれると、酸化され硫酸が発生し土壌の酸性化に繋がる。また、還元性雰囲気では硫化水素が同時に発生する。土壌の酸性化は農作物の収穫高の低下を、また硫化水素の発生は根腐れをそれぞれ引き起こすため、被災農地復興のためには早急な対応が求められている。

土壌の酸性化を防ぐためには、従来石灰や石膏、牡蠣殻といった土壌改良資材が使用されてきた。本研究ではそれらの代替資材として製鋼スラグの利用を提案する。製鋼スラグは安価に安定供給が可能であり、スラグ中に豊富に含まれるCaOやFeOによりパイライトの酸化や硫化水素の発生が抑えられる。さらに、製鋼スラグ中にはFeやP、Mgといった有価物質が含まれているため、肥料としての側面も期待出来る。このように製鋼スラグは土壌改良における付加価値が大きいため、実用化に向けた研究が進められている。

そこで本研究ではヘドロ処理における製鋼スラグ実用化に向けて、パイライトの溶解挙動におけるFeイオン及びCaOの影響を実験的に検討している。

製鋼スラグを用いた被災地沿岸部農地の土壌改質

Fig. 実験装置

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